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【NHK研究⑦】 NHKは反発 それでも「クローズアップ現代」の今後については触れず

【NHK研究⑦】 NHKは反発 それでも「クローズアップ現代」の今後については触れず

NHKが「クローズアップ現代+」の終了を決定して来年4月以降の後継番組の検討に入ったとの報道に対して、NHKは「まったくの事実無根」と非難した。しかし、番組の今後については見解で触れなかった。実は、NHKの内部文書からはその非難自体が事実に基づかないことがわかる。後継番組を意味する「クロ現の次」は既に内部資料に列挙されている。(立岩陽一郎)

「まったくの事実無根であり、記事の削除を求めます」

NHKからInFactに電話が入った。「まったくの事実無根ですか?」と問うたら、「そうです」と答えた。私の問いの理由は後述する。暫く後にNHKのホームページにも掲載するというので確認すると、「NHKの見解」として次の様に記載されていた。

2021年4月9日、一部ネットメディアで、NHKが『クローズアップ現代+』の終了を決定したとする記事が掲載されましたが、まったくの事実無根で、大変遺憾です。執筆者に対して抗議するとともに、記事の削除を求めてまいります

「まったくの事実無根」とは、NHKが「クローズアップ現代+」の終了など議論も検討もしていないというトーンだ。それは、実は事実ではない。私が入手しているNHKの内部資料に基づいて説明したい。

資料の1つには次の様な絵が描かれている。その一部だけ紹介する。

NHKの内部資料(撮影:筆者)
NHKの内部資料(撮影:筆者)

「報番D」から「総合ゴールデン・プライム/開発番組/編成」に提案を出すと描かれている。何を提案するのか?「課題曲」と書かれ、その下に、「”クロ現の次“に向けたアイデア募集・聞き取り」となっている。「クロ現」が「クローズアップ現代」の略なのは説明するまでも無いだろう。この「クロ現の次」という言葉は他の資料にも散見される。

因みに、「報番」とは報道番組のことで、「報番D」とは「報道番組のディレクター」を意味する。「課題曲」については情報を提供してくれたNHK職員の話で紹介しよう。

『課題曲』と『自由曲』とは一種の隠語で、番組の種類を指しているんです。『課題曲』とは上から課題を与えられた番組のこと。『クロ現の次』は上から降りてきたので『課題曲』です」。

因みに、「自由曲」とは自由に提案する番組のことだという。

別の資料に、「報番のゴールデン・プライム開発について」というものもある。NHKの各局のチーフ・プロデューサーらに送られた資料だ。「ゴールデン・プライム」とは、前田晃伸会長肝入りの新しい番組を出す夜の時間帯のことだ。会長会見で再三言及している。

そこにも、「“クロ現の次”『課題曲』については、編成とは別途、アイデア募集・聞き取りをしたいと思います」と書かれている。

更に別の資料には次の様に書かれている。

「次の時代の報道番組とはどういうモノが良いのか、クロ現の次なるものは何か、大切にしなければいけないコンセプトとは、どうせやるならこれくらい思い切ったことをやったほうが良いのでは・・・等々。大方針から志から、演出、デジタルとの連携スタイル、制作フローに至るまで、ご意見や発想をお送りください」。

そして「1行でも、企画書でも、パワポでも動画でもけっこうです」と続き、提案先である「報番開発サポートチーム」のメールアドレスも書かれている。指示の言葉が柔らかいのは、既に現場レベルでの議論だからだ。

私の手元にあるこれらの資料は、既に主だった制作担当者の間で共有されている。それに基づいて、「クロ現の次」、つまり「クローズアップ現代」の次の番組について普通に議論が行われているのだ。資料には部署名のみならず担当者の名前も記されている。NHK広報部は調べようと思えばいつでも調べられるが、担当部署に問い合わせた形跡も無い。

これらの資料から見ても、「まったくの事実無根」が事実と言えないことはあらためて説明するまでも無いだろう。しかし、「検討はしているが決定はしていない」という言い方は可能かもしれない。それが、NHK広報部の電話に対して、「まったくの事実無根ですか?」と問うた理由だ。ただし、入手している内部文書からは、「決定はしていない」とも言えない状況が既に進んでいることを示している。
(つづく)

(今回も情報源を匿名にしています。これは本来はあるべきではないと考えますが、情報源が特定されれば情報提供者が著しい不利益を被ることは明らかで、それ故、今回も匿名としています)。

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