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【NHK研究⑧】NHKは「クローズアップ現代+」の後継番組を作るための部局横断のプロジェクトを既に始めていた

【NHK研究⑧】NHKは「クローズアップ現代+」の後継番組を作るための部局横断のプロジェクトを既に始めていた

「クローズアップ現代」の終了をNHKが決定して後継番組の検討に入ったと報じたことに「まったくの事実無根」と反論したNHK。その反論が事実に基づかないことを更にNHKの内部資料から詳細に明かす。NHKは既に、後継番組のパイロット版を作成する部局横断の大型プロジェクトを開始していた。(立岩陽一郎)

InFactなどで「NHKが『クローズアップ現代+』の終了を決定」報じた4月9日(Yahoo!ニュース個人に先行掲載)、「クローズアップ現代+」を制作する部署では会議が開かれていた。その場で責任者から、そのニュースについて、「NHKはまったくの事実無根だとして記事の削除を求めた」との説明があった。

その時、会議の出席者からどよめきが起きたという。その報告を受けた放送総局の幹部によると次の様な内容だったという。

「でも、クロ現は無くなるんですよね?」

「だから我々はパイロット版を作るっていう話をしているんですよね?」

責任者は、それを否定していない。

「じゃあ、まったくの事実無根って、おかしくないですか?」

これについて責任者は次の様に話したという。

「上からの指示で潰すわけではありませんから。それは、事実無根です」

以上が会議での大まかなやり取りだ。勿論、正確な文言では無い。こうした趣旨のやり取りが有ったということだ。

妙な話だとの印象は、その場にいた多くの職員が共有したようだ。4月9日の記事には「上からの指示で番組が終了した」などと書かれていない。勿論、下からの意見で終了したとも書いていないが、それをもって「まったくの事実無根」という表現は極めて違和感が有る。

また、前回書いた通り、後継番組は「課題曲」と位置付けられている。「課題曲」と「自由曲」の意味については4月10日の記事を参照して欲しいが、「課題曲」とは上から課題を与えられて検討する番組を示す隠語だ。つまり「クローズアップ現代」の後継番組は上から与えられた課題ということになる。そうであれば、そのために終了する番組、つまり「クローズアップ現代」の終了は上からの指示によると考えるのが普通だろう。

なぜNHKは「まったくの事実無根」との見解を出したのかは、私にはわからない。しかし、その見解にNHKの職員の多くが違和感を覚えていることは書いておきたい。

仮に「まだ決定したわけではない」という反論ならあり得るようにも思える。しかし、取材を進めると、それも実際には苦しいことがわかる。既にパイロット版を作るチームまで編成されている。そう書くと、「新たな番組のパイロット版を作ると言って、それで今の番組を終了させるとはならない」と反論する人もいるだろう。しかし、「クローズアップ現代」の後継番組のパイロット版を作るというのは、そんな生易しいものではない。

これまで私の手元にいくつか資料があることを明らかにしてきた。この資料は、情報源の特定につながるので公表は慎重にする必要がある。しかしNHKが「まったくの事実無根」との見解を出し、それを信じている人もかなりいる現状がある。そのため、慎重な書き方で、1つの資料について説明したい。パイロット版の制作メンバー表だ。

そこには次の様に書かれている。

【コア】

@@CP(総合CP)(社番遊軍)

@@PD(総合PD)(大型)

【若手コア】

@@@@PD(H21・政経国(経))

@@@@PD(H24・おはよう)

@@@@PD(H24・NW9)

ここまでを説明しよう。@には個人名が入っているので省略している。CPがチーフ・プロデューサーでパイロット版の制作責任者となる。「社番遊軍」とは、社会番組班の遊軍に所属するということだ。その下にPD(プログラム・ディレクター=制作担当者)がつく。所属はNHKスペシャルなどを制作する大型番組開発。ともに、報道のエースということが言えるだろう。

この2人がコア、つまり中心になるのだが、その下に若手が抜擢されている。大抜擢と言って良い。2009年から2012年の入局というから、このプロジェクトが前田会長の進める若手登用を反映させたものだと読むことが可能だ。

注目して欲しいのはその所属だ。「政経国(経)」とは、政治経済国際班で経済を担当しているという意味だ。そして、「おはよう」は「おはよう日本」で、「NW9」は「ニュースウオッチ9」だ。メンバー表は更に続く。それを見ると、首都圏放送センターやスポーツ報道センターからも人が入っている。部局横断での抜擢だ。

わかるだろうか。このパイロット版とは、「クローズアップ現代」を作っている部署だけで試行錯誤するというレベルではない。NHKが部局の垣根を越えて人を集めた大型プロジェクトが始まっていることを意味している。

NHKは現在、各部局とも限られた人員での対応をせまられている。特にコロナ禍やオリンピック・パラリンピックへの対応で、どこも過酷な状況だ。それでもやりくりして人を出すというのは、NHKが組織として決定して前に進めているプロジェクトだからだ。「決定していない」などというレベルでは無いということだ。

NHKはどう対応するのか?パイロット版の制作を止めることはあり得ない。推測するならば、表向きは「クローズアップ現代+」を続けるような見解を残しつつ、年明けの会長会見で発表するということになるのだろう。その際、仮に記者から「いつクローズアップ現代の終了を決めたのか?」と問われても、「番組をどうするかは常に検討しており、具体的にいつとは言えない」と答えるのではないか。
(つづく)

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