
選択的夫婦別姓に賛成する日本人の割合は1%しかないとのXの投稿が拡散しているのでファクトチェックしたが、その根拠となるデータは存在しなかった。逆に内閣府の世論調査では30%近い日本人が賛成している。
対象言説
7月8日、Xで「夫婦別姓にしたい日本人→1% 夫婦別姓に反対する党首→1人」という投稿が行われた。投稿は「参院選公示直前 9党幹部政治討論会」と書かれたテレビのテロップがついた画像が貼り付けられている。

これについて①夫婦別姓に反対する党首が1人という発言は正しいのか②夫婦別姓に賛成する日本人が1%というデータがあるのか、の2点についてファクトチェックした。
結論
①については、討論会で選択的夫婦別姓に反対したのは参政党の神谷代表だけで1人は正しい。
②については、選択的夫婦別姓に賛成する人の割合が1%しかないとのデータは確認できず誤りである可能性が極めて高い。
ファクトチェックの詳細
選択的夫婦別姓に反対する党首は1人?
添付されている画像は「9党幹部政治討論会」で、これは関西プレスクラブ主催で6月29日に行われた政治討論会だった。国政政党の要件を満たす各党から幹部・政策責任者が出席したもので、自由民主党・立憲民主党・日本維新の会・国民民主党・公明党・れいわ新選組・日本共産党・参政党・社会民主党の9党が参加していた。政党によって党の代表が参加しているケースもあれば、党幹部が参加しているケースもあった。
この討論会の内容をABCテレビの番組アーカイブで確認したところ、討論会で選択的夫婦別姓に反対を明確に表明したのは参政党の神谷宗幣代表1人だった。自民党の細野豪志政調会長代理は賛否を示すことをしなかった。参政党、自民党以外の党はすべて賛成を表明した。因みに添付されている画像は動画の34分ごろの画面を切り取ったものであった。
・夫婦別姓に賛成する日本人が1%?
選択的夫婦別姓制度に関して賛否を問う調査をいくつか調べてみると、公的機関による複数の調査が見つかった。法務省民事局が2022年時点の内閣府世論調査をもとに作成した以下の表によれば、28.9%の人々が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成している。

また、産経新聞が2025年に行った世論調査でも、夫婦別姓が行われた場合、どのように考えるかということを問う質問について、「家族で名字が変わってもいいので賛成」と積極的に賛成とした回答者が16.3%に達し、「親が決めたのなら仕方ないので賛成」として消極的に賛成した回答者と合わせれば30%を超えている。

一方で、選択的夫婦別姓に賛成している日本人が1%しかいないというデータは見つけることができなかった。見つけることができない以上、この言説を誤りと断定はできないが、様々なデータを確認しており、誤りである可能性は極めて高い。
(穴田智花,柴田和樹/大東文化大学社会学部・野嶋ゼミファクトチェックチーム)