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【衆院選26FactCheck】「辺野古は唯一の解決策」「中止は非現実的」は本当か?〈琉球新報の記事から〉

【衆院選26FactCheck】「辺野古は唯一の解決策」「中止は非現実的」は本当か?〈琉球新報の記事から〉

自民党政権が「辺野古移設は唯一の解決策」としてきた沖縄の米軍普天間基地の移設問題。選挙前に結成された中道改革連合は現実的な安全保障政策を旗印に、辺野古移設を中止するのは「非現実的」との見解を示した。その後、辺野古移設について野田共同代表は態度を明確にはしていないが、「現実的」か「非現実的」という観点で米軍普天間基地の辺野古移設をファクトチェックする。先ず第一段は琉球新報のファクトチェックを同紙の許可を得て転載する。

検証言説①

中道改革連合の安住淳共同幹事長(発言時は立憲民主党幹事長)の発言 「(辺野古新基地建設は『左の極端な考え』と質問され)私自身も、政権にいた時には、やはり辺野古についてはこれはやらざるをえないということで言ってきましたから、(中略)政権をいざ担うということになれば、いまのそれをストップするかというと現実的ではない」(1月19日の記者会見)(※1)

検証言説②

安倍政権以降の歴代首相の答弁 「辺野古移設は唯一の解決策」(※2~※6)

結論:工事が難航し、米国の安全保障戦略も変化しており、不正確・ミスリーディング

ファクトチェックの詳細

立憲民主党の安住淳幹事長は1月19日、公明党と結成した新党「中道改革連合」の綱領発表記者会見で、米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の考え方を問われ、「ストップするかというと現実的ではない」と述べた。東京の月刊誌の編集長が「辺野古中止、絶対反対の主張は(日米)安保廃棄を主張する共産党とほぼ一緒」「左の極端な考え」と言って尋ねた質問への答えだった。安住氏は「沖縄の皆さんの戦争時の大変な経験と、いま沖縄の皆さんが思っている心情を察すれば、(質問者が)言うほど、竹で割ったような簡単な話ではない」とも語ったが、立民が掲げてきた「辺野古中止」の撤回で沖縄県内から批判を浴びた。

中道はその後、「結論を出していない」と賛否をあいまいにしているが、党首討論会では「確固たる方針がないと、日米同盟はおろか日本の安全を守ることもできない」(高市早苗首相)と議論が相次いでいる。東京での議論の根底にある「辺野古移設は唯一の解決策」という歴代政権の言説と合わせて検証する。


新基地建設の予定地・大浦湾は、海面下90メートルに達するとされる軟弱地盤が広がっている。このため、政府は約7万1千本の砂くいを海面下約70メートルまで打ち込む地盤改良工事を行う計画だ。防衛省は「2024年12月には地盤改良工事に着手するなど、工事が着実に進捗している」(※7)とアピールしているが、実際には「天候の影響」などで25年6月から12月まで半年間、作業が中断した。25年12月の工事再開時までに打ち込まれたくいは約2900本(全体の4%)。くい打ちだけで10年を要するペースだ。政府は普天間飛行場の返還時期を明示していない。

また、政府は新基地建設にかかる総事業費を約9300億円と試算するが、26年度当初予算案での計上額(歳出ベース)と24年度までの支出済み額、25年度の歳出ベース額を合わせると約8425億円となり、政府試算の総事業費の9割に達している。25年12月末時点で、辺野古側と大浦湾側を合わせて埋め立て全体の16.7%の土量しか投入が終わっていないにもかかわらずだ。軟弱地盤の難工事が続き、大幅な増額が見込まれている。

普天間飛行場の返還に関して2013年に日米両政府がまとめた統合計画では、辺野古建設を含めた8つの条件が付けられている(※8)。この8条件に関して、稲田朋美防衛相(当時)は2017年6月6日の参院外交防衛委員会の質疑で「普天間飛行場の返還のためには、緊急時における民間施設の使用の改善を含む返還条件が満たされる必要がある(中略)。仮に、この点について今後米側との具体的な協議やその内容に基づく調整が整わないようなことがあれば、返還条件が整わず、普天間飛行場の返還がなされないことになりますけれども、防衛省としては、そのようなことがないよう、返還条件が満たされ、普天間飛行場の返還の実現の支障とならないように対応をしていく考えでございます」と述べている。辺野古新基地が完成したとしても、ほかの条件が整わないと返還自体ができないことになる。

米国の安全保障戦略も変化しており、新基地が完成しても普天間飛行場が返還されるか、不透明だ。在沖米軍幹部も23年11月に「軍事的に言えば、普天間飛行場のほうがいい」と発言した。

 「辺野古は唯一の解決策」や「工事中止は現実的ではない」は、工事の実態を踏まえておらずミスリードだ。

(琉球新報衆院選ファクトチェック取材班)

(※1)中道改革連合 綱領発表記者会見(2026年1月19日)
https://www.youtube.com/live/1Cj1YI5f7NQ?si=2fOr-MkZ7hWgIyc9&t=2460

(立憲民主党youtubeチャンネル、41:00~)
(※2)安倍晋三首相の衆院本会議(2015年1月27日)での答弁
「辺野古への移設は、米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせたとき、唯一の解決策です」

(※3)菅義偉首相の衆院本会議(2020年10月28日)での答弁
「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策です」
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120305254X00220201028&current=38

(※4)岸田文雄首相の衆院本会議(2021年10月11日)での答弁
「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策です」(第205回国会 
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120505254X00320211011&current=32

(※5)石破茂首相の衆院本会議(2024年10月7日)での答弁
「辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき、着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながる」(

(※6)高市早苗首相の参院本会議(2025年11月6日)での答弁
「普天間飛行場については、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて、着実に工事を進めていくことが、その一日も早い全面返還を実現し、危険性を除去することにつながる」
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121915254X00420251106&current=1

(※7)普天間飛行場代替施設についてhttps://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/frf/index.html

(※8)沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画
https://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/saco/pdf/20130405_okicon_plan_j.pdf

編集長追記

今回の衆院選挙でInFactは琉球新報と連携してファクトチェックを行っており、今回も琉球新報の記事を転載させて頂くことになりました。記事の形式をInFactのものに変えているが、内容は琉球新報の報じているものと同じです。琉球新報の記事はこのサイトから読めます。→琉球新報デジタル版

この辺野古移設についてはInFactも独自にこの言説をファクトチェックした記事を出しています。それも合わせてお読みいただければ幸いです。

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