
NHK党所属で和歌山選挙区から立候補している本間奈々候補が、社民党の大椿ゆうこ候補が投稿したポストを引用したうえで、「やっすい仕事してるなぁ!と他党のことを批判してるが、10390票という、史上最低の得票数で国会議員になった大椿ゆうこさんは、有権者からすると、安いどころか、国益から考えても大損害を与えていると思います」という投稿を行っている。大椿候補は「10390票という、史上最低の得票数国会議員になった」のかファクトチェックした。
対象言説
NHK党から参院選和歌山選挙区に立候補している本間奈々候補が、社民党から参院選比例代表に立候補している大椿ゆうこ候補について、「「やっすい仕事してるなぁ!と他党のことを批判してるが、10390票という、史上最低の得票数で国会議員になった大椿ゆうこさんは、有権者からすると、安いどころか、国益から考えても大損害を与えていると思います」とXに投稿。
このうち、「10390票という、史上最低得票数で当選した」を対象言説とした。

結論
大椿氏の得票数は10390票でもなければ、史上最低の得票数とも言えず、投稿は事実関係の誤りが含まれたものだと考えられる。
ファクトチェックの詳細
大椿氏の得票数は10390票だったのか?
総務省HPによれば、2019年の参院選で大椿氏の得票数は15445票だ。10390票ではない。この選挙で落選したが、2023年に繰り上げ当選を果たしている。ただ、大椿氏は繰り上げ当選になる前の2022年の参院選にも比例代表で社民党から立候補し、このときは10390で落選している。投稿者は、繰り上げ当選の対象となった選挙を勘違いして、10390票と記載した可能性が高い。
大椿氏は「史上最低得票の当選」だったのか?
総務省の資料によれば、大椿氏以外にも繰り上げ補充という形で当選している議員が9名いた。そのうち、「公明党」の高橋次郎氏と「NHKから国民を守る党」の浜田聡氏がそれぞれ7577票、9308票で繰り上げ補充という形で繰り上げ当選となっていた。
公明党・高橋次郎氏の得票数は以下だ。

以下はNHKから国民党を守る党・浜田聡氏の得票数だ。

つまり、2019年回参議院選挙で15445票獲得している大椿氏は最低得票数ではなかった。参議院選挙における「史上最低得票の当選」について資料で確認できなかったが、大椿氏が2022年に得た10390票を対象としても、高橋氏、浜田氏の得票数を上回っており、「史上最低得票の当選」に該当しないことは明らかだ。
このファクトチェックの結果について本間氏に問い合わせを行った。問い合わせはNHK党から得たメールアドレスに7月7日に送ったが、回答を求めた7月9日を過ぎても回答を得られていない。今後、回答が得られ次第、記事に反映させる予定だ。
InFactのファクトチェックは対象言説を批判するものではない。事実の提示とともに、正しい情報を付加することで誤った情報の拡散を防ぐことを目的としている。このため、選挙期間中でも特定の候補者の言動に誤りがあれば、党派を超えて指摘することにしている。
(後藤紗良、柴田和樹/大東文化大学社会学部・野嶋剛ゼミファクトチェックチーム)