
NHKと民放は公職選挙法に基づき、参院選の各候補者につき5分30秒で自らの主張を伝える政見放送を行っている。全国の選挙区のうち、13人が立候補している兵庫県(定員3人)に注目し、NHK総合テレビで放送された各候補者の主張のポイントをまとめた。3〜4人ずつ4回に分けて記事化する。
政見の中で、根拠を確認する必要が有るとInFact 編集部が判断した部分は、黄色のハイライトを付けている。これはこの部分が誤りである可能性が有るということではない。ファクトチェックの結果が出た段階で記事にする。
候補者は放送順になっている。2回目は以下の3人の候補。各候補者の画像はNHKの画像を使っている。
高橋みつお(公明党)

経歴
48歳。元農林水産大臣政務官、元外交官。参議院議員1期。大阪外大在学中に外交官試験に合格し中退。中央大学卒。兵庫県出身。
番組説明から
家計と食卓を守り抜く高橋みつお。国民の暮らしを襲ったコメの価格高騰。政府は価格抑制を図るため、今年の2月、備蓄米の放出を決定しました。この放出の決め手となったのが、高橋みつおの提案によるものだった。
備蓄米は大不作や大災害時でなければ放出はできないと法律で定められており、政府は放出に踏み切ることができなかった。昨年10月まで農林水産大臣政務官を務めていた高橋みつおは、何度も省内で議論を提起しますが、返ってくるのは後ろ向きな答えばかり。それでも諦めず、法律の壁を打ち破る新たな方法を提案。それは、一旦備蓄米を市場に供給し、落ち着いた頃に同量を買い戻すというもので、備蓄米の総量を買えずに市場の価格を抑制する仕組み。この高橋みつおの提案が突破口となり、政府は備蓄米の放出を決定した。さらに、毎月の追加備蓄米の放出や、国があらかじめ値段を決めて業者に売る随意契約の実現、そして50万トン規模の増産へ実行に移すとの首相答弁を引き出すなど、お米の価格安定へ道を切り開いてきた。
こうした粘り強い行動の裏には、外交官時代に強く心に刻まれた出来事がある。高橋みつおは政治家になる前、外交官として17年、世界30カ国をめぐり、地雷除去活動や農業振興支援、また通訳官として首脳外交の一翼も担ってきた中で、アンゴラでの光景が深く心に刻まれた。内戦後のアンゴラでは、地雷で手足を失った子どもたちが街をさまよい、学校の周辺には多くの地雷源が残されていました。女性や子どもを狙った非人道的な行いに、高橋みつおは、底知れぬ怒りを覚えた。人間の命と暮らしを守りたい。この時に立てた誓いは、今も変わらぬ信念となっている。
今なお予断を許さないウクライナ紛争。高橋みつおは、避難民を受け入れる隣国ポーランドを訪問し、帰国後すぐに総理に訴え、避難民へのスクールバスの手配など具体的な支援策を実現させた。
また、原発事故の風評被害に苦しむ福島の農家からは、「せっかく作った農産物を全部捨てないといけない」との悲痛な声を聞き、外交官時代に交流のあったブラジルへの輸出解禁を実現。さらに、能登半島地震が起こった際には、震災の痛みを知る1人として何度も足を運び、悲痛な声を国に届け、復旧支援に奔走した。
「コメが食卓に届く安心を」。消費者も生産者も納得できる、おコメ5キロ3000円台での安定供給を目指し、50万トン規模の増産を実行。さらに農地集約、スマート農業を進め、日本の農業を守る。
「減税・還元・賃上げで物価高対策を」。ほぼすべての納税者の方が、1人当たり2万円から4万円が減税される。さらに生活応援給付金として1人当たり最大4万円を還元。そして、ガソリンの暫定税率を廃止する。他にも、基礎年金の底上げ、介護従事者、保育士等の給与を全産業平均まで引き上げる。
「五国の魅力で兵庫経済を前へ」。神戸空港の国際化を機に、空港施設の拡張や交通インフラの整備を拡充する。兵庫県内の有数の観光地へのインバウンド700万人誘致を目指す。また、但馬牛の世界遺産登録、山田錦、岩津ねぎの日本遺産登録に尽力してきた高橋みつおは、地域ブランドをさらに磨き上げ、兵庫の経済を活性化させる。
候補者・高橋みつおの主張部分
国民の「家庭と食卓を守る」こと、そして兵庫の未来の可能性を世界へ拓くこと、震災を経験し、誓った、「人のために力を尽くしていく」その思いを胸に、ふるさと兵庫、そして日本のために、これからも結果を出し続ける。
前田みさ(チームみらい)

経歴
33歳。慶応義塾大学卒業。P&Gで兵庫、南アフリカ共和国、東京勤務後、メンタルヘルススタートアップ役員。1児の母。
候補者・前田みさの主張
平成4年生まれの33歳。3歳の子どもを育てている。慶応義塾大学経済学部を卒業後、22歳で兵庫県に引っ越し、消費財メーカーで働きながら20代の多くの時間を過ごした。現在は、メンタルヘルスのスタートアップの役員をしている。
私が政治を志したきっかけは、29歳で母を闘病の末に亡くして、その半年後に子どもを出産した時のこと。母の闘病、介護、子どもの出産、子育ての中で、ケアマネージャー、訪問看護、ヘルパー、保健師、助産師、保育士など、最前線にいらっしゃる皆さんが力を尽くしてくださることへの感謝の気持ちでいっぱいになった。一方で、申請が必要なために調べたり探すのに時間がかかってしまったり、結果として導入が遅くなったり、本来はもらえたり使えたはずのサービスを受けられていなかったことがもったいなく、むなしくも感じた。
そして、仕事と育児の両立で大変な数年を経て、現在、現役世代に重くのしかかる社会保障費や(げんぜ)税金が、将来子どもにさらなる重荷になるのかもしれないと考えると、将来の日本も子どもにとって素晴らしく誇れるようにするためには何をするべきなのだろうかとふと考えてしまう。
子どもの出生数は70万人を既に切っている。社会保障費の構造自体を変えないと、現役世代はさらに手取りが減り、結婚や出産といった人生プランを考えることもできず、少子高齢化にさらなる拍車がかかってしまう。
そこで私は、社会保障費を2点、構造から変えるべきだと考える。
1点目は、医療費の原則全世代3割負担。
2点目は、エビデンスに基づいて負担率を変更することで、患者にとって医療効果を高められるものについては3割負担にこだわらず、柔軟に負担率の変更を実施する。例えば、主要な抗がん剤は全世代1割負担、湿布などは全世代3割負担といったかたち。
次の日本の50年間を考えた時、全世代3割負担や応能負担への移行は避けては通れない。少子高齢化の中で、構造として耐えきれるコスト構造になっていない。あとは、いつ決断するかで、政治的な理由、特に政治家が任期を乗り越えることを優先して問題を先送りにするべきではなく、いずれしないといけない重い決断なのであれば、少子高齢化に少しでも歯止めをかけるためには、早ければ早いほど、日本の未来にとっては正しい選択だと考える。
子育て政策の優先順位と考え方を抜本的に考えるべきだとも考える。提案するのは、子育て減税とプッシュ型支援。子育て減税は、1人産んだら親の所得税をマイナス5%、2人生んだらマイナス10%、3人生んだらマイナス20%いった形で、年少扶養控除をさらに強化したかたちの減税。プッシュ型支援は、子育ての中で必要な支援や手当てを、申請ベースではなく、その型の状況に合わせて行政からのプッシュ型で支給していくことが重要。
ただでさえ大変な育児を親の自己責任としないことが、政治側からの歩み寄りでできると考える。これは、子育てに限らず、介護、医療、福祉、行政サービス全てに必要なことで、私自身感じた現場の皆さんの素晴らしい頑張りが必要な方のもとに届くには必要不可欠だと感じる。
私たちチームみらいは、候補者15人の平均年齢が35歳。日本で1番若い政党です。昨年、東京都知事選で15万票をいただいたAIエンジニアの党首、安野たかひろも現在34歳です。経験という点では、より多くの方々から学ばせていただかなくてはいけない。しかし、私たちにとっては50年後の日本も自分事だ。だからこそ、その場しのぎの政治ではなく、20年後も50年後も見据えて、日本の未来にとって良い政策かどうかを常に考えている。
チームみらいは、日本の未来のために、テクノロジーによって政治に風穴を開ける政党だ。
うらきけんご(日本誠真会)

経歴
42歳。日本誠真会組織対策委員補佐、法律事務所職員。
候補者・うらきけんごの主張
日本誠真会は、「日本の病を治す」というスローガンを掲げている。日本の病とは属国病、つまり海外への依存症。現在の日本は、ありとあらゆるものを海外に依存しています。食料、エネルギー、医療、労働力、そして我が国の最高法規である憲法までもがアメリカに押し付けられて79年になる。
これに対して、日本を元に戻す。本来の健やかで自然とともに生き、助け合い、誇りを持てる日本の姿に戻す。
具体的には、消費税をゼロにする、日本の食と脳と医療を守る。外国人問題にメスを入れ、安心、安全な日本を取り戻す。憲法をはじめとした属国体制を見直す、日本人が日本人らしく生きられる国づくりに取り組む。汗水流して働く人々が報われる社会の実現を目指す。
最近の原油高、物価高は、ウクライナ戦争が直接的な原因ではない。戦争に乗じて原油や穀物の先物取引にマネーを投じて利ザヤを稼ぐ賭博経済に興じている者が価格をつり上げている。
我が国のエネルギー自給率は10%台、食料自給率はカロリーベースで30%台という基幹物資が輸入頼みの国だから、最近の円安と相まって輸入価格が高騰し、国民生活が逼迫している。
エネルギー自給率100%、食料自給率100%を実現させ、自給自足のできる国をつくる。具体的には、エネルギーについては、尖閣諸島沖の油田開発、再生可能エネルギーの推進。食料については、耕作放棄地の再調整による強い農政を実現させる。
戦後80年間の対米追従政治を終わらせるためには、その根底にある日本国憲法を破棄しなければならない。日本国憲法は憲法として有効ではなく、現在でも大日本帝国憲法が有効であると考える。日本国憲法、すなわち占領憲法の効力論争を行い、我が国を真の独立国として蘇らせるための一里塚を築く。