(2017年10月9日)
- 今回の対象
「この2年間で正規雇用は79万人増え、正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて1倍を超えました。正社員になりたい人がいれば、かならず1つ以上の正社員の仕事がある」
- 判定
エンマ大王度 2
「発言に根拠は有るものの、その内容は必ずしも事実とは言えない」
- 記事
今回の総選挙は任期満了に伴うものではなく、安倍総理が解散権を行使して行われるものだ。それだけに解散の理由は吟味されなければならない。このため、「ニュースのタネ」は、9月25日に行われた安倍総理の解散会見から事実について語られた部分を抽出し、ファクトチェックを行った。
今回はその第一弾となる。
今回対象とした発言のうち、「2年間で正規雇用は79万人増え」、「正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて1倍を超えました」は、厚生労働省の調査を基にしていてこれ自体は事実と認めた。特に、正社員の有効求人倍率については、(ハローワークの正社員有効求人数)/(ハローワークの常用フルタイム有効求職者数)によって算出されたもので、数値は1.01倍を示していることが確認できた。
しかし、「正社員になりたい人がいれば、かならず1つ以上の正社員の仕事がある」とまで言えるのか、検討した。
先ずこのデータを、都道府県別に調べた。すると、正社員の有効求人倍率が1倍を超えているところは東京、愛知、大阪などで、その数は都道府県の半数に満たない22となっている。最も低い沖縄では0.48倍、次に低い高知は0.68倍となっている。全ての国民が、「かならず1つ以上の正社員の仕事がある」と言う状況ではない。
更に詳しい状況を調べようとしたところ、厚生労働省からは、年齢別、職業別の有効求人倍率についての資料は公表していないと言われた。