(2017年10月11日)
- 対象となる言説
「(消費税の)2%の引き上げにより、5兆円強の税収となります」
- 判定
エンマ大王度 1
「発言の一部に事実と認定するのに不確かな要素がある」
- 記事
解散総選挙の理由を語った9月25日の安倍総理の会見内容を確認する総選挙ファクトチェックの第二弾。今回は、「(消費税の)2%の引き上げにより、5兆円強の税収となります」の真偽を確認する。
この「5兆円強」の増収というのは、解散の理由に直結する重要な事実として提示されている。安倍総理は、この数値をもとに、「現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円あまりは借金の返済に使うことになっています」と述べている。そして、その使途を変更することの信を国民に問うとしており、それが今解散総選挙を行う理由の1つだとしている。
私たちは、この「5兆円強」の真偽を確認。
どうやってこの「5兆円強」は算出されたのだろうか?
財務省主税局総務課に確認した。回答は意外なほどシンプルなものだった。
「5兆円強は、前の年度の消費税の総額を消費税率で割って1%あたりの消費税額を出し、それに上げ率をかけたものです。税率は国税分だけなので6.3%です」
現在の消費税率は8%だが、国税分は6.3%だ。
去年の消費税の国税分の総額は約17兆1850億円。これを6.3%で割って1%あたりの税収を算出すると2.7兆円。これを2%分として5.4兆円。これが安倍総理の語った「5兆円強」の根拠だ。
あくまでも予測の値でしかない。はたして、これは「2%の引き上げによって5兆円強の税収になります」と断言できるほどのものなのだろうか?