
『れいわ新選組 ガソリン減税に反対 自民党を全力アシスト』という動画添付のXでの投稿が拡散している。そのような事実はあったのだろうか、ファクトチェックした。
対象言説
Xでは6月20日、以下のような動画を含んだ投稿が行われ、複数のユーザーにもリポストされ、広く拡散している。投稿に記載された文章は以下の通りである。
『れいわ新選組 ガソリン減税に反対 自民党を全力アシスト』という動画添付のXでの投稿が拡散している。自民党に対してれいわ新選組は通常、そのような事実はあったのだろうか。

結論
れいわ新選組はガソリン減税法案に賛成した記録は有るが、逆に自民党と歩調をあわせて反対した記録はない。
ファクトチェックの詳細
れいわ新選組のガソリン減税法案への対応
対象のXの投稿は7月8日現在で45万回表示され、1500を超える「いいね」がつき、500以上リポストされている。
まず、2025年6月20日の衆議院本会議の内容を衆議院インターネット中継で確認したところ、投稿に添付された動画は、れいわ新選組の高井崇志議員の発言を切り取ったものである事がわかった(1:13:42~1:14:09、1:14:23~1:14:46、1:15:46~1:16:02)。
討議の内容は「租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(217国会衆53)」、いわゆるガソリンの暫定税率廃止法案に関してのものだ。それによると、この法案に関する各党の賛否は以下の通りだ。

つまり法案に反対したのは自民党と公明党であり、れいわ新選組はガソリン暫定税率廃止に賛成していることが確認できる。投稿で「ガソリン減税法案」としているものがガソリンの暫定税率廃止法案を意味することは明らかであり、れいわ新選組が「ガソリン減税法案に反対」して「自民党を全力アシスト」しているという事実はないことがわかる。
動画のテロップについて
動画の中に「ガソリン減税法案の採決になぜか反対」というテロップが出る。これはれいわ新選組の高井議員の「冒頭、本日の財務金融委員会が委員長職権で強行採決されたこと、そして本会議に緊急上程されたことに強く抗議いたします」という発言の部分に重ねて貼られている。これは法案の審議を打ち切ろうとした井林辰憲財務金融委員長(自民党、解任)の議事運営に対する抗議であり、法案に対して抗議したものではない。
一方、「委員長(立憲)の解任に我々れいわも協力します!」というテロップも出てくる。委員長というのは前述の井林辰憲財務金融委員長(自民党)の事であり、委員長解任決議の賛成するという意味だ。
他方、「選挙目当てのパフォーマンスと他の野党を批判(謎の与党気取り)」というテロップも出る。批判しているのは会期末の迫ったタイミングで法案を提出したことに対してだ。NHKによれば、法案を提出したのは立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、参政党、日本保守党、社民党の七党で、他の野党を批判していることは間違いなく、この部分は正確だと言える。
また、「与党席から大きな拍手をいただきました!(嬉ション)」というテロップも出る。この点は、衆議院ネット審議中継では確認できないが、法案を提出するタイミングが遅すぎるという発言に対して拍手は上がった様子は見て取れた。恐らく、これは与党の側から出たと考えて良いだろう。
他方、「参院で過半数割れ狙うのは駄目(完全に自民党の犬)」というテロップも出るが、衆議院で通った法案が与党が多数を握る参議院で通らなかった点を指しているものと見られるが、れいわ新選組が過半数割れを狙ったものではなく「完全に自民党の犬」との言葉は事実を言い表していない。
InFactのファクトチェックは対象言説やその発信者を批判するものではない。確認した事実の提示とともに、正しい情報を付加することで誤った情報の拡散を防ぐことを目的としている。
(齋藤光,柴田和樹/大東文化大学社会学部・野嶋剛ゼミファクトチェックチーム)