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【参院選FactCheck】志位和夫委員長「今度の参議院選挙でも、一人区の大体半分で野党候補ひとりになってます」は「正確」

【参院選FactCheck】志位和夫委員長「今度の参議院選挙でも、一人区の大体半分で野党候補ひとりになってます」は「正確」

日本共産党の志位和夫委員長が「今度の参議院選挙でも、一人区の大体半分で野党候補ひとりになってます」と発言しネット上などで疑問の声が上がったが、発言は正確だ。(三井滉大、田島輔)

チェック対象

今度の参議院選挙でも、一人区のだいたい半分で野党候補ひとりになっています。(日本記者クラブ主催の党首討論会での志位委員長の発言(参照、2:16:39~))

結論

【結論:正確】全部で32ある一人区うち、全選挙区に候補をたてたNHK党などを除いて、「野党候補ひとり」となっているのは11選挙区のみ。しかし、志位委員長の発言は、昨年の衆院選の野党共闘の評価に関する質問に答えるものであり、昨年の衆院選で連携した5野党(立憲、共産、国民、社民、れいわ)の枠組みで考えると、14選挙区で「野党候補ひとり」となる。

「野党候補ひとり」の意味は?

志位委員長の発言は、6月21日に開催された日本記者クラブ主催の党首討論会でなされたものだ。これにネット上などで疑問の声が上がったのでファクトチェックした。

まず、「野党候補ひとり」とはどのような状態を指すのだろうか。NHK党のように全選挙区で候補者を立てている政党もあるため、完全に選挙区での野党候補者が一人になっていることは考えられない。

そこで、志位委員長の発言の文脈を確認すると、この発言は昨年(21年)10月の衆院選での野党共闘の評価に関する質問を受けてのものだった。

記者:去年の野党共闘、これ失敗したという評価もあれば、志位さんは、そうではないとおっしゃりたいと思いますが、この野党共闘の、うまくいかなかったことについて、志位さんが責任を取るべきではないかという声もあるのかもしれません。この辺についてどうお考えでしょうか?

志位委員長:野党共闘は今、途上にあると思うんですよ。…私たちは、今度の参議院選挙でも、一人区のだいたい半分で、野党候補ひとりになってますから、ぜひ次につなげる成果を勝ち取りたいと思います。

昨年の衆院選では、野党5党(立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党、れいわ新選組)が7割を超える小選挙区で候補者を一本化していた(参照参照)。

そうすると、志位委員長の発言も、昨年の衆院選で候補者を調整した野党5党の枠組みを前提としたものと考えられるだろう。

その上で、一人区の野党候補を確認したところ、野党5党で「候補ひとり」となっている選挙区は14あった。
全国には一人区は32あり、14の選挙区で野党5党の候補者が一人となっているのであれば、「一人区の大体半分で野党候補ひとりになっている」という志位委員長の発言は正確といえるだろう。

なお、野党5党に日本維新の会を加えた場合、「野党候補ひとり」となっているのは11選挙区のみだった。
反対に、もともと野党5党に含まれない日本維新の会と、岸田政権に接近していることが報じられる国民民主党を除いた場合(参照)、18の選挙区では「野党候補ひとり」だった。

一人区おける、与党と野党5党及び日本維新の会の候補者擁立状況は次の表のとおりだ。

結論

検証の結果、全選挙区で候補者を立てている政党を除いた、主要な政党(立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党、れいわ、日本維新の会)については、「野党候補ひとり」と言えるのは、32の一人区のうちで11選挙区のみであった。
しかし、志位委員長の発言は、昨年の衆院選で候補者調整を行った野党5党を前提としていると考えられ、野党5党については14の選挙区で「野党候補ひとり」となっている。

そのため、「今度の参議院選挙でも、一人区の大体半分で野党候補ひとりになってます」との志位委員長の発言は、「正確」と判定する。

(冒頭画像:日本記者クラブ主催の党首討論会(6月21日)で発言する志位和夫委員長)

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