Twitter で、「6 月 18 日の街頭演説会で、吉村大阪府知事が、ポケットに手をつっこんだま
ま街宣しており、国民・県民・市民を舐めきっている」というツイートと画像が拡散したが、
このツイートはミスリードだ。（佐藤綾香・川端奈緒）

発信の根拠となっている画像を確認してみた。

この画像が撮られた際の街頭演説の動画が、「大阪維新の会」公式YouTubeチャンネルにあげられている。

背景に映り込んだ建物のロゴや垂れ幕などから、場所はJR長野駅の善光寺口側にある、ながの東急百貨店前であることがわかる。ツイートの「長野駅前の街宣らしい」と符合する。

また、吉村氏が副代表を務める「日本維新の会」のホームページに掲載されている演説スケジュールで、吉村氏が6月18日午後1時から、長野駅善光寺口で参院選候補者の応援演説に入っていたことが確認できる。

この動画は全体で48分12秒ある。このうち吉村氏が登場したのは開始25分30秒から47分30秒の間である。吉村氏が演説していた23分の間に、いつ問題の画像が撮られたのかを検証した。先に結論から述べれば、動画を確認すると、上半身しか映っていないが、ポケットに手を入れる仕草をしている可能性が有る場面は計3シーン確認できる。以下、一つずつ検証していく。

一つ目は25分58秒あたりだ。演説をする際に自身がしていたマスクを外しポケットに入れた場面だ。しかしポケットに手を入れていたのは2秒ほどだった。二つ目は30分51秒から30分58秒までの7秒間である。この間の前後には、身振り手振りを使い演説をしていたが、7秒間は右手が全く動いていない。三つ目は33分11秒あたりだ。「国会議員は文通費をポッケナイナイしてる」という発言と共に、ポケットに手を入れる仕草を見せた。8秒後にはまた身振り手振りを使い演説を行った。

実際に検証した結果、ポケットに手を入れた可能性があるのは、３回の合計でも１７秒であった。その間際に吉村氏は演説を行っていない。ツイートは、あたかも吉村氏が街頭演説会中にずっと「ポケットに手をつっこんだまま」、演説を続けたかのような印象を与えるものとなっており、「国民・県民・市民を舐めきっている」というTwitterのコメント発言は、それを強調するものと言える。

結論

「大阪維新の会」のYouTubeチャンネルにあがっている6月18日の街頭演説会のアーカイブ映像の中で、吉村知事が話をしている最中にポケットに手を入れている場面は確認できない。このツイートは、吉村氏が街頭演説中にずっと、ポケットに手入れたまま演説を続けたかのような印象を与えるものになっており、ミスリードだ。

２エンマ大王

InFactはレーティングをエンマ大王で示している。問題のツイートは「ミスリード」であり、これは２エンマ大王となる。

InFactはファクトチェックの結果をエンマ大王で示している。エンマ大王のレーティングは以下の通り。

• ４エンマ大王　「虚偽」
• ３エンマ大王　「誤り」
• ２エンマ大王　「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
• １エンマ大王　「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ（FIJ）のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。