「世界で最も危険な米軍基地」と米国の国防長官が発言した沖縄の米海兵隊普天間基地。県北部の辺野古の海を埋め立てて新たな基地を作ることで移設を目指す日本政府と、あくまで県外への移転を求める沖縄県。5月17日に沖縄県那覇市で開かれた県民大会は、県内移設に反対する沖縄の強い意志をあらためて示すものとなった。大会での翁長雄志沖縄県知事の発言に注目した。(アイ・アジア編集部)
那覇空港から車で10分もかからない場所にある沖縄県那覇市の沖縄セルラースタジアム。強い日差しと目の前のスタンドを埋め尽くした人々を前に、沖縄県の翁長雄志知事がマイクの前に立った。
「安倍首相は、『日本を取り戻す』と言っておりますが、私からするとこの『日本を取り戻す』の中に、沖縄が入っているのかと強く申し上げたいと思います」
翁長知事の振り絞るように出された言葉に、大歓声と指笛が球場に響き渡る。そして知事は続けた。
「自国民に自由と人権、民主主義という価値観を保障できない国が、世界の国々とその価値観を共有できるのでしょうか?」
更に言葉をつなぐ。
「日米安保体制、日米同盟というものは、私はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるものであってほしいと思っています」
こうした言葉に翁長知事の1つの狙いがあると、沖縄県庁の知事公室の幹部が打ち明ける。