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【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月12日)

【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月12日)

菅義偉首相が日本学術会議の会員6名の任命を拒否した問題で、加藤勝信官房長官は10月12日の会見で、菅首相は99名の任命の決裁の際、推薦された候補者リストの参考資料を詳しく見ていなかったものの、最終決裁の前に今回の任命の考え方について説明がなされていたと説明した。(インファクト編集部)

(注)会見録一覧はこちら。記者会見は公開情報ですので、転載等は自由です。首相官邸サイトの動画などで発言内容を確認し、日本学術会議関連の発言は全て抽出するようにしています。途中で別の内容で質疑応答があった箇所は横ラインを入れています。聞き取りにくい部分などは●●としています。必要に応じて正確を期すための修正を行います。

加藤勝信官房長官 定例記者会見(10月12日午前)

(記者)
北海道新聞のイシイです。
日本学術会議関連でおうかがいします。
日本学術会議が中国の軍事研究の千人計画に参加していたという情報がインターネットなどで流れていますが、事実関係は確認されていますでしょうか。

(長官)
日本学術会議としては多国間、二国間の枠組みを通じた学術交流を行っているところでありますが、中国の千人計画を支援する学術交流事業を行っているとは承知をしておりません。

(記者)
東京新聞のムラカミです。日本学術会議で憲法23条の学問の自由に関連しておうかがいします。
菅首相は5日のインタビューで、学問の自由とは全く関係ない、どう考えてもそうじゃないでしょうかとご説明をされていました。
この「どう考えても」というのは、何をどう考えた結果、学問の自由とは全く関係ないのかということを、もう少し詳しく政府のお考えをお伺いできますでしょうか。

(長官)
あの、そのときのやりとりはですね、記者の方から、独立の機関であって、研究者の中では学問の自由の侵害ではないかという指摘があるということに対する答えが、いま言われた学問の自由とは全く関係ないということでありますから、これに対して、その前に総理がこの学術会議についてですね、国の行政機関であること等のお話を、またこの場においても特別職の国家公務員であるということ、当然それによって憲法第15条との絡み、縷々説明をさせていただきました。
まさに、そうしたことを踏まえた発言だということであります。

(記者)
東京新聞のムラカミです。続けておうかがいします。
いま15条のお話もありました。
学術会議の任命拒否の問題についてですね、憲法上の関係条文との関係について、以前の会見で、15条でしたりとか、そのほか65条、72条、併せて23条のことも挙げていらっしゃったかと思います。
この菅総理の説明のように、学術会議の任命拒否、このことについては政府の見解としては、23条というのは全く関係がなく、23条の観点から検討することはないというご認識なんでしょうか。

(長官)
いやですからご質問の趣旨が、独立の機関であるから学問の自由との関係をおっしゃったんで、それはそうではないということを言われたということでありまして、それは独立の機関ではなくて国家行政機関であるし、それから先ほど申し上げた特別職の国家公務員であり、そうした事情の中で当然、憲法15条が規定される、そうした中で運用しているということを踏まえてのやりとりであります。
だからあくまでも学問の自由だけを取って言ったんではなくて、独立の機関だから学問の自由が侵害されているんではないかというご質問に対して、そういう答えをされたということでありますから、質問と答えというのはセットで考えていただければご理解いただけると思います。


(記者)
TBSヨシナガです。日本学術会議についておうかがいいたします。
菅総理が9日のグループインタビューで、任命されなかった6人を含む105人の会議側の推薦者リスト見ていないと説明されました。
先月28日の決裁直前に任命する99人のリストを見たとの説明でしたが、総理が105人の学術会議側のリストをご覧になってないのであれば、どのタイミングでどなたがこの6名の方を任命されないというのを決められたのでしょうか。

(長官)
まずあの、99名を任命することについては内閣府における起案から、総理大臣による最終的な決裁まで、過程これは一貫していたということであります。
総理が推薦者の名簿について見ていないと答えられたのは、これ、決裁文書には推薦名簿は参考資料として添付をされていますけれども、参考資料までは詳しくは見ておられなかったということを指されているんだろうと思います。
決裁までの間には、総理には今回の任命の考え方の説明も行われているところであります。

(記者)
朝日新聞のキクチです。関連でおうかがいします。
決裁までについては、総理に考えが示されているということでしょうか。
今、お話ご説明ありましたけれども、今回の6人除外というのは、最終的に総理の判断で除外されたという理解でよろしいでしょうか。

(長官)
6人除外ではなくて、99名を任命されたということでありますけれども、それについては最終的にはもちろん総理が最終決裁者であります。

(記者)
朝日新聞のキクチです。
確認ですけれども、決裁文書には105人のリストもついていたということで、そこを十分にご覧になっていたかどうかは分からないということですが、105人の候補者が99人に絞られたという認識は総理はお持ちだったということでよろしいでしょうか。

(長官)
決裁文書そのものは任命行為ですから、99名のリストを見てですね、その決裁をする、これが基本ということになるわけであります。
それから、先ほど申し上げた決裁までの間には、今回の任命の考え方について総理には説明が上がっていたということでありまして、あと詳細については人事の話なんで控えさせていただきますけれども、そういうプロセスがあったということであります。

(記者)
詳細について総理に考え示されたということですけれども、一方で先日のインタビューを受けて、この日学法に基づいていないのではないかという専門家からの指摘もあります。
つまり、首相が105人の推薦を十分に見ることなく任命決裁したのは違法行為だという指摘ですけれども、政府としてはこうした指摘は当たらないというご認識でしょうか。

(長官)
日学法の中において推薦をもとにですね、ちょっと条文はちょっと外れますけれども、基に、その中からですね、選ぶということであります。
したがって、中から選ばれた者について総理は決裁をされたということでありますから、適法に行われているものと承知をしています。

(記者)
読売新聞のヤマザキです。関連でおうかがいします。
先ほど今回の任命の考え方について総理に説明があったというお話でございました。
これ逆にですね、菅総理の側からこういった方針で任命する対象者を選んでほしいだとかですね、そういった方針が起案する事務局に当たる部分なのか分かんないですけど、その起案者に対して何らかの指示等があったのでしょうか、そこら辺お聞かせください。

(長官)
人事上の判断に係りますんでですね、そこでの細かいやりとり、これは差し控えたいと思いますが、ただ先ほど申し上げましたように、決裁までの間に総理に対して今回の任命の考え方の説明が行われる機会があったということであります。


(記者)
京都新聞クニサラです。日本学術会議に関しておうかがいします。
会員のですね、総理の任命権っていうのは非常に重いものがあると思います。
えーさらにですね、いわゆる任命を見送り、推薦された方がですね、えー見送られるということに関しては、よりですね、慎重な任命権の行使っていうものが必要かと思うんですけれども、あの、105人をですね、段階で見ていないと、99人のリストしか見ていないというですね、ところで、えー、首相はですね、えー任命権を行使されたということに関しては、これは適切であったというふうに、あの、お感じでしょうか。

(長官)
ですから先ほど申し上げましたように、任命の考え方については説明をする機会があったと。
それを踏まえて最終的に案が出てきて、それを決裁、99名の任命をさせていただいたということでありますから、全く法律上ですね、出てきた推薦の案そのものを全然無視してやってるわけではなくて、そのまさに日本学術会議から頂戴をした推薦リスト、これに基づいて任命を行ってきているということであります。

(職員)
日程ありますので最後でお願いします。

(記者)
東京新聞のムラカミです。関連しておうかがいいたします。
いまのご説明で、全く法律上の推薦の案を無視してやっているわけではないというご説明がありました。
ただ日学法17条を見ますと、日本学術会議は会員の候補者を選考し、内閣総理大臣に推薦するものとするというふうにされています。
そうしますとこの105人のリストを参考資料として添付したとしても、推薦者として示されたのが99人であれば、これはその推薦は99人にして推薦を総理に見せるという行為と、この17条の整合性というのを、これどのようにご説明されるんでしょうか。

(長官)
いやですから、最後の決裁の段階の話をさせていただいて、最後の決裁の段階では99名を任命する、まさに任命行為ですから、99名を任命するという決裁文書が起案をされ、そのまま最終決裁された、ということであります。
そこに至るプロセスについては先ほど申し上げたように、総理に対して説明がなされているということでありまして、当然説明に当たってはそうした法律を踏まえた説明がなされているものと思います。


2020年10月12日午前、首相官邸

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