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【FactCheck】安住委員長が大石あきこ議員の質問を「切った」との誤解はなぜ生じたのか?

【FactCheck】安住委員長が大石あきこ議員の質問を「切った」との誤解はなぜ生じたのか?

衆議院の予算委員会でれいわ新選組の大石あきこ議員に与えられた質疑時間を安住委員長が「15分あるのに11分で切った」と、終了する前に切ったとする誤った言説が拡散した。それはなぜなのか、ファクトチェックした。

対象言説

                              2025年2月28日 X(旧Twitter)への投稿

判定結果

 大石議員の持ち時間は15分ではなく14分だった。安住委員長は14分が終了したのに大石議員が質問を続けたために注意したもので、質疑時間終了前に「切った」ものではない。

ファクトチェックの詳細

 この対象言説をめぐっては既に誤りであることがわかっている。InFactはなぜ誤った情報が拡散したのか取材した。衆議院のインターネット審議中継の動画で確認すると以下の流れだったことがわかる。

 確認すると大石議員の質問が終わって14分で質問を終了するように言われており、安住委員長が「大石さんもういいですか」と発言したのも15分より前となる。そうだとすると、対象言説の指摘のように「11分」では止められていないものの、質疑時間より前に止められたことになる。これはどういうことなのか?

 国会の委員会で各議員が質問できる質疑時間は所属する会派ごとに異なっている。予算員会でのれいわ新選組・大石議員の持ち時間はどのくらいあり、議事の進行はどのように行われたのか。衆議院事務局委員部第一課に電話で取材した。

 大石議員が「15分」と発言したことで15分が質疑時間だったという情報が拡散したわけだが、正確には質疑時間は14分だったということだ。その時間が来て終了時間の到来が告げられ、それでも大石議員が発言を続けたために予算委員長が注意したということになる。質疑の終わり時間が午後4時50分だとすると、午後4時50分40秒からの大石議員との会話で「46秒オーバーしています」と安住委員長が述べていることとも符合する。

 つまり、この点で対象言説は正しくないことは以上のことから確認できた。以上がファクトチェックだ。因みに、委員会での質疑時間はどのように決めるのか。この点も衆議院事務局委員部第一課に聞いた。

 この『衆議院委員会先例集』には、 「発言時間を、各会派の所属議員数の比率に基づいて、各会派に割り当てる。」と書かれていた。衆議院事務局の説明では、委員会の理事会等において各会派の所属議員数の比率に基づいて算定した上で、時間を調整して各派の質問時間を割り当てているということだ。

 大石議員に割り当てられた14分の質疑時間が適切か否かについては意見が分かれるだろうが、InFactは論説を展開するメディアではない。れいわ新選組の大石議員が予定された4時間のうち14分の質疑時間を確保し、それを超えて質問を続けたために安住委員長が止めたという事実を確認するにとどめる。

 InFactのファクトチェックは対象言説を否定したり批判したりするものではない。事実の提示とともに、正しい情報を付加することで誤った情報の拡散を防ぐことを目的としている。

                                                    (濵田乃)

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