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トランプの米国とどう向き合うか? (13)~事実より情宣?トランプ政権の広報戦略

様々な問題を抱えつつトランプ新政権がスタートした米国。トランプ大統領は就任式翌日からCIAを訪れるなど執務を開始。その際、「就任式には実際にはどう見ても150万人くらい来ていた」として、マスコミが不当に数字を低く伝えていると批判した。

ドナルド・J・トランプ大統領(ホワイトハウスHPより)
ドナルド・J・トランプ大統領(ホワイトハウスHPより)

就任式への参加者数について米各社は90万人程度と報じているが、これは首都ワシントンの警備当局がホテルの宿泊数や交通機関の利用状況から割り出した数字に基づいている。従ってマスコミが勝手に出した数字ではないのだが、そのほかに現場で記者がツイートでもっと少ない数字の見立てを出したりしたことが我慢ならないらしい。

その不満は、ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官の最初の会見で更に強調された。月曜日の定例会見を待たずに行われた会見で、スパイサー報道官は次の様に語った。

「就任式の参加者を不当に低く報じるマスコミは恥ずべき行為であり誤りだ。就任式の参加者は過去にない規模だった。以上。」

その際に、次の様な根拠を示している。

「オバマ大統領の前回の就任式の時は地下鉄の利用者は31万7000人だったが、きのう(20日の就任式)では42万人が利用した」

つまり地下鉄の利用者の多かったトランプ大統領の就任式の方が、少なくとも4年前の二期目のオバマ大統領の就任式よりも参加者数は多い筈だということだ。

しかし、ここには数字の間違いがあるとCNNは指摘している。CNNが地下鉄当局に確認したところ、オバマ大統領の時の31万7000人というのは午前11時現在の数字で、その日の地下鉄の利用客数はその倍以上の78万2000人だったという。

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