これを受けてニューヨーク・タイムズ紙も、13日の社説でフリン補佐官を「安全保障補佐官とされる人物」と酷評。補佐官としての信用を失ったばかりか、民間人が外交問題に関与して外交政策を誤らせることを禁じた法律に違反していた疑いが有るとして、全面的な調査を求めた。
参考記事:現地報告:中国官僚の実態
●沈黙を守るトランプ大統領
この問題についてトランプ大統領が沈黙していることが、事の深刻さを示していると受け止められている。大統領は安倍総理とフロリダに向かう専用機の中で記者団からワシントン・ポスト紙の報道について問われ、「その報道について知らない。それはどういう報道だ?」と話し、その様子はテレビでも流れている。
メディアの動向に敏感で夜中でも朝方でもツイートで報道の内容をやり玉に挙げるトランプ大統領だ。機内での言葉を鵜呑みにする記者は1人もいない。その後もフリン補佐官についてツイートなどで触れていないことから、トランプ大統領が対応に苦慮しているものと見られている。
●国家安全保障会議も機能しない事態に
民主党からも、フリン氏のロシア側との接触を全面的に捜査するよう求める声が出ている。ワシントン・ポスト紙によると、ホワイトハウスの関係者は「フリン補佐官は孤立している」と話しているという。
米公共放送NPRのベテラン記者は次の様に話した。
「オバマ大統領のロシアに科した制裁をめぐっては、プーチン大統領が対抗措置をとらず、それをトランプ大統領が賞賛した経緯がある。仮にフリン補佐官のやり取りをトランプ大統領も知っていたとの疑いがもたれると、更に大きな問題に発展する。だから、トランプ大統領だって、下手なことは言えないだろう。彼をかばうことは自殺行為になるからだ」
しかし、ことは大統領云々というだけの問題ではないとNPR記者は話す。
安全保障担当補佐官は、国家安全保障会議の主要メンバーだ。NPRの記者の話では、既に、この会議も機能しなくなっているという状況が見られるという。
「このままでは国家安全保障会議が正常に機能しないという極めて異常な状態が続くことになる。それは当然、米国だけでなく、日本を含めた関係国の安全保障に直結する深刻な事態を引き起こしかねない」