従来の主張を覆してシリアへの空爆に踏み切ったトランプ政権。その政権内で圧倒的な存在感を示していたステファン・バノン主席戦略官が国家安全保障会議のメンバーから外されたことで、トランプ政権内で勢力争いが起きていると米メディアが一斉に報じ始めた。
トランプ大統領が掲げた「米国第一主義」や「脱グローバリズム」といった政策の思想的な支柱であり推進者とされるステファン・バノン主席戦略官。その発言力は政権発足直後から圧倒的で、トランプ大統領の最も信頼する側近として知られていた。
そのバノン戦略官が国家安全保障会議のメンバーを外されたことが、米国のメディアで様々な憶測を呼んでいる。ワシントンポスト紙は、ホワイトハウス内の関係者の話として、「左遷人事だ」と報じた。
ニューヨークタイムズ紙は、バノン戦略官のこの人事の背景には、ハーバート・マクマスター国家安全保障担当補佐官や軍関係者からの強い進言が有ったと伝え、社説で「大統領はマクマスター補佐官が仕事をしやすいようにすべき」と指摘している。
また、主要メディアは一斉に、ホワイトハウス内で、バノン戦略官のグループと娘婿で上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏のグループの間で政策上の対立が生じていると報じ始めている。そして、クシュナー氏のグループに主導権が移りつつあるとの見方を伝えている。
(参考記事:米トランプ次期政権に娘婿入りで「利益相反」も問題に~トランプの米国とどう向き合うか? (5) )