大統領側は、今回の措置は民主党のヒラリー候補に対する電子メール事件の捜査に問題が有ったからだとしているが、それを鵜呑みにする関係者はいない。
公共放送NPRの記者は次の様に話す。
「クリントンの電子メールの事件へのコミー氏の対応については現在、司法省が調査をしており、解任するならば調査結果を受けて行えば良い話だ。また、電子メールの問題が理由であれば、そもそも大統領就任時に解任するのが筋だ」
FBIの関係者もNBCテレビに出て、「少なくとも、FBIの中では、トランプ大統領の陣営が捜査対象となっているロシア政府による選挙への関与が理由だと受け止められている」と話した。
トランプ大統領の就任式では多くの民主党議員が参加をボイコット。こうしたことも、スキャンダルに揺れる中で選挙に勝ったニクソン大統領の二期目以来だった。ニクソン大統領は独立検察官を解任して間もなく辞任に追い込まれている。
(参考記事:トランプ氏の大統領就任式に民主党議員が大量欠席 途中退陣したニクソン大統領以来の事態)
ワシントンで大統領の問題を追及している調査報道記者は次の様に話した。
「この大統領はどこまで信用できるのか、多くの米国人が不安に思っている。それが今回のFBI長官の解任劇で更に強まったのは間違いない。大統領が直ぐに失脚するということはないだろうが、中間選挙(2018年)の結果に大きく作用するだろうと思う。その時、議会の状況次第では弾劾手続きも可能になる。そうなると、ニクソン大統領と同じ状況に追い込まれるかもしれない」