「辞任はしないが、解任は覚悟しているというのが大方の見方だ。あとは、ホワイトハウス次第だろう」
不可思議なのは日本の報道だ。岡本氏の発言のような内容は新聞でも書かれている。つまりティラーソン国務長官は国務省内からも反発が有るというものだ。ここは整理しておいた方が良いだろう。
先ず、国務省高官で政治任用とされる次官補などのポストの多くが空席なのは事実だ。しかし、これをそのまま国務長官の責任としてしまうのは極めてミスリーディングだ。その任命権者はトランプ大統領であり、審査をしているのはホワイトハウスだからだ。
この点については過去にもYahooニュースに書いているが、簡単に何が起きているか書いておく。ホワイトハウスが、過去にトランプ大統領を批判した発言をしている人を登用しない方針を決めており、そのため任命が遅れているというのが事実だ。一度任命されて仕事を始めたものの、その後に過去の発言が判明して解任されたケースもある。
特に外交の専門家とされる多くの識者がトランプ大統領の候補者時代の外交政策を批判しており、自薦、他薦の多くが失格となってもおかしくない。つまり、その任用の遅れがティラーソン長官の責任だとは言えないのだ。
これもあまり日本では報じられていないようだが、トランプ大統領は米国を弱くしたのは歴代政権とその政権を支えてきた国務省だと考えている。このため、大統領就任の1月20日より前に全世界の大使を解任している。その一人がケネディー駐日米国大使で、引き継ぎさえせずに慌ただしく帰国したのを記憶している人も多いだろう。
トランプ政権で解任が噂されるのはティラーソン国務長官だけではない。当初は最大の盟友とされたジェフ・セッション司法長官も解任説が根強い。その理由は、政権の行方を占うロシアゲートの捜査を、身体をはって止めなかったというものだ。トランプ政権とは、そういう側面を持った政権だということは知っておいた方が良い。
気になるのは、岡本氏にしろ日本の新聞の報道にしろ、情報の根拠を明示していないことだ。誰かが意図的にトランプ大統領を擁護するような情報を流しているのだろうか?
トランプ政権の今後は北朝鮮への対応を例に出すまでもなく、日本に大きな影響を与える。我々は少し冷ややかな目で、この大統領を見なければならない。
(この記事はyahoo!ニュース個人からの転載です)