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【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月1日)

【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月1日)

菅義偉首相が日本学術会議の会員6名の任命を拒否した問題について注目が集まっている。実は、官房長官記者会見の文字起こしは、政府・首相官邸のサイトにも大手メディアのサイトにも掲載されていない。そこで、今後の報道や検証のため、加藤勝信官房長官らの記者会見での発言を記録する。

加藤長官はこの問題が明らかになって初めて行われた10月1日の会見で、2004年以降、日本学術会議の推薦者より任命者が少ないという事例は承知していないが、政府の任命に対するスタンスは変わっていないとの認識を示した。(インファクト編集部)

(注)会見録一覧はこちら。記者会見は公開情報ですので、転載等は自由です。首相官邸サイトの動画などで発言内容を確認し、日本学術会議関連の発言は全て抽出するようにしています。途中で別の内容で質疑応答があった箇所は横ラインを入れています。聞き取りにくい部分などは●●としています。必要に応じて正確を期すための修正を行います。

加藤勝信官房長官 定例記者会見(10月1日午前)

(記者)
朝日新聞のキクチです。よろしくお願いいたします。
日本学術会議の人事についておうかがいします。
一部報道で学術会議が推薦した新会員候補のうち数人が任命されなかったと報じられております。
任命されなかった候補には、国会の参考人質疑でいわゆる共謀罪法に反対した学者なども含まれているということです。
報じられている内容が事実かどうかお願いします。
また、同会議が推薦した候補が任命されなかったケースは過去にないとのことですが、この事実関係についてお願いします。

(長官)
まず、日本学術会議の会員については、日本学術会議法により日本学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命すると、こういう仕組みになっております。
今回の任命については、8月31日に日本学術会議から会員推薦、会員候補推薦書が内閣総理大臣に提出され、本日、任命が行われたということでございます。
99名の方の任命を行いました。
それからえー、これまでこうした推薦者に比べて少ないことがあったのかということでありますけれども(沈黙)、これまではですね、現在の推薦の仕組みというのは平成16年度以降なされているわけでありますけれども、そうした事例があるとは承知をしておりません。

(記者)
関連でおうかがいします。朝日新聞キクチです。
8月31日に推薦書が出て、任命は本日ということですけれども、任命権者は、安倍前総理ではなくて現菅総理ということでよろしいでしょうか。
また、推薦された候補を過去すべて任命されているということですけれども、今回この推薦、あ、任命に至らなかった理由についてお願いします。

(長官)
まずひとつはですね、まさに今回の決裁はこの新政権になって行われたものということであります。
えー、現在のですね、日本学術会議はわが国の科学者の内外に対する代表機関として科学の向上発展を図り、行政、産業および国民生活に科学を反映、浸透させることを目的とした、設置されている機関であるということですね。
加えて、日本学術会議は優れた研究または業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考して内閣総理大臣に推薦をしていただくと。
そして、この会員の人選については、これまで専門領域の業績にとらわれない、幅広い視野に立って総合的俯瞰的観点から活動を進めていただくため、実際これまでも累次、制度改正も行われてきたわけでありますが、こうしたことを踏まえて、内閣総理大臣の所轄の下の行政機関である日本学術会議において、任命権者である内閣総理大臣がまさに学術会議法に基づいて任命をしてきた、こういうプロセスの中で、今回の任命手続きがなされた、これはこれまでも同じことをしてきたということであります。

(記者)
朝日新聞ですけれども関連でお願いします。
任命に至らなかった理由として、いま明確な理由はないように私は受け取りましたけれども、首相の政治判断で任命しなかったと理解してもいいんでしょうか。
また、もしそうであれば、憲法が保障する学問の自由の侵害に当たると思うんですけれども、官房長官のご所見をお願いします。

(長官)
まずひとつは、個々の候補者の選考過程、理由については、これは人事に関することですから、これはコメントは差し控えるということはこれまでの対応であります。
それから先ほど申し上げたように、日本学術会議の目的等々を踏まえて、当然、任命権者であるですね、政府側がその責任を持って行っていくということは、これは当然のことなんではないかというふうに思います。
その上で、その学問の自由ということでありますけれども、もともとこの法律上、内閣総理大臣の所轄であり、会員の人事等を通じて一定の監督権を行使するということは法律上可能となっておりますから、その範囲の中で行われているということでありますから、これが直ちに学問の自由の侵害ということにはつながらないというふうに考えております。


(記者)
東京新聞のムラカミです。
日本学術会議の話にちょっと戻っておうかがいしたいと思います。
やはり任命にいたらなかった理由という、その明確な理由がいまいち私もよく分からなかったんですけれども、例えば先ほど長官の方から優れた業績というのはご説明があったかと思います。
今回任命に至らなかった方は、例えば国会の参考人質疑等でですね、あのー、共謀罪法案について戦後最悪の治安立法だと述べているところがありますけれども、そうした発言から政府、総理としては優れた業績に当たらないと、そういったご判断をされたということでしょうか。

(長官)
先ほど申し上げましたように人事に関してですね、一つ一つこうした事由でということは、これまでもほかの事例でも申し上げてはないだろうというふうに思います。
基本的な考え方は、先ほど申し上げましたこの代表機関の設置目的、それにのっとった形の運営ということが期待されていくわけでありますから、そういった視点に立って私どものほうで任命をさせていただいた。
ただ、法律上は推薦をした人の中から選ぶということになっておりますから、それにのっとって決定をさせていただいた、こういうことであります。

(記者)
東京新聞のムラカミです。
法律上、推薦を受けた人の中から選ぶというふうになっているということですが、先ほどのご説明で、これまではすベて推薦の仕組み、平成16年以降は任命されてきたというご説明がありました。であるならば、今回その中から選ぶという形で、任命されなかったということになったと、その経緯、またその理由というのは何だったんでしょうか。

(長官)
ですから、これまでもですね、そういった観点に立った形で任命をさせてきていただいたわけであります。
その結果、これまでは推薦した方をそのまま認めていたと、今回はそうではなかったと、結果の違いであって、対応してきた姿勢については変わるものではないということであります。


首相官邸サイト

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