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【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月1日)

加藤勝信官房長官 定例記者会見(10月1日午後)

(記者)
朝日新聞のキクチです。よろしくお願いします。
日本学術会議の件についておうかがいします。
学術会議の推薦に基づいて首相が任命する仕組みにはなっておりますけれども、任命されなかった例は過去にないということで、それだけに政府の説明が求められると思います。
今日ですね、選出された新会長の梶田さんは極めて重要な問題だと。
一方で、退任した山極会長も理由をつけずに任命しないことは遺憾だと。
新旧トップがこうした発言をしています。
政府として現状ですね、説明責任を果たしているというご認識でしょうか。

(長官)
あの、午前中の記者会見でも申し上げましたけれども、日本学術会議の会員については、これまで専門領域での業績にとらわれない広い視野に立って、総合的俯瞰的観点からの活動を進めていただくということで、これは実際、この仕組み自体も、何度か改正をされてきた、こういう経緯があります。
そうしたことを踏まえて、今回もですね、学術会議からの推薦を踏まえて政府が任命を行ったということでありまして、この結果の違いはありますけれども、これまでのスタンスということは変わっているわけではないということは、午前中申し上げたとおりであります。

(記者)
朝日新聞のキクチです。重ねておうかがいします。
山極前会長は菅総理宛てに文書で説明を求めたそうですが、今日まで回答はなかったということを明らかにしております。
これは事実でしょうか。
事実ならなぜ回答されていないのか、また、今後、回答、説明する考えはあるのかどうか、お聞かせください。

(長官)
まず、文書は昨日、出されているということであります。
その上で文書への対応は、これは事務方で検討されるものというふうに思います。


(記者)
北海道新聞のイシイです。学術会議関連でおうかがいします。
会員を任命するかどうかという基準にですね、内閣の政策に対する姿勢も含まれるんでしょうか。

(長官)
これは先ほど申し上げましたように専門的、専門領域の業績にとらわれない広い視野に立って、総合的俯瞰的に、この日本学術会議の設置目的、まさに科学の向上発展を図り、行政、産業および国民生活に科学を反映、浸透させる、そのこと、それが実行していただける、そういう観点から考えているということであります。

(記者)
北海道新聞のイシイです。
そうしますと、この学術会議は内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う機関という位置付けなんですけど、今回こういうことで、独立性に影響というのはないんでしょうか。

(長官)
独立ということ、あの、それはそれぞれ、これはあくまでも内閣総理大臣の所轄にかかるものであります。
それから任命についての仕組みもあるわけでありますから、それにのっとって対応させていただいているということであります。
その中ではそれぞれきちんとした役割分担がなされ、その役割分担に対してはその中でしっかりと対応していただくと、こういうことだと思います。


(記者)
京都新聞の●●と申します。
日本学術会議の人事に関しておうかがいします。
日本学術会議法はですね、学術会議の独立性を保障している条項があるんですけれども、今回の決定との整合性に関してどのように説明されますか。

(長官)
もちろん学術会議の独立性というのも法律で書かれております。
他方で、推薦をしていただいて、それにのっとって内閣総理大臣が任命するという規定も書かれておるわけでありますから、当然任命するという立場に立ってしっかりと精査をしていくというようなことは当然のことだと思います。

(記者)
すみません続けて、任命されなかった研究者の業績、アカデミニズムのですね、評価については、そもそも政治家である総理が分かるものなのか、判断、評価できるものなのかというですね、疑問があります。
なぜ任命しなかったかについてもですね、えー、理由を明かせないと、疑問が解消されないと思うんですが、長官はどのようにお考えでしょうか。

(長官)
まず、お一人お一人がなぜそうなのかということは、それについてこれまでもいろんなことがあったと思いますけれども、具体的なコメントはしていないということであります。
その上で基本的な考え方は先ほどから申し上げておりますけれども、専門領域の業績にとらわれない広い視野に立って総合的俯瞰的観点から、こうした学術会議の活動をしていただきたい、そういった観点から私どものほうで任命をさせていただいたということであります。

(記者)
東京新聞のムラカミです。同じく学術会議の件でおうかがいいたします。
学術会議についてですね、過去の国会答弁で国務大臣から答弁がありました。
1983年11月24日の参議院文教委員会で、当時の丹羽兵助総理府総務長官がこう答弁してます。
「ただ形だけの推薦制であって、学会の方から推薦をしていただいたものは特に拒否はしない。形だけの任命をしていく。決して総理の言われた方針が変わったり、政府が干渉したり、中傷したり、そういうものではない」と。
この当時の国会の政府答弁と整合性がつきませんが、法律の解釈を変えられたということになるんでしょうか。

(長官)
あの日本学術会議、先ほど申し上げましたけれども、設立以来ですね、先ほど申し上げた専門領域での業績のみにとらわれない広い視野に立って総合的俯瞰的観点からの活動を進めていただく、そして、そういった観点から法改正が幾度か行われているわけでありまして、もともと設立当初は科学者を選挙人とする選挙制をとっていたわけであります。
しかし、これに対して科学者を評価するのに選挙制は適当でないことや立候補者数が減少しているという指摘があり、科学者の活動の母体であり、科学者の学問研究上の業績を最も適切に評価できる学術団体を基礎とする推薦制に改められました。
そのときの答弁が今の答弁だと思います。
しかしその後ですね、個別の学術団体の利害から自立した科学者コミュニティーの総体を代表する組織を目指して、学術団体に依存した推薦制度、これやめました。
そして平成16年に70歳定年と再任不可制度を導入するとともに、学術会議の会員自らが推薦する形に改められた、こういう時代時代に応じて変遷をしていくわけであります。
そうした中で先ほど申し上げた、重ねてになりますけれども、専門領域での業績のみにとらわれない広い視野に立って総合的俯瞰的観点から活動を進めていただくという観点から、私どもは今回任命をさせていただいた、そして任命については法律で定められているように、学術会議からの推薦者の中から任命をさせていただいた、こういうことであります。

(記者)
東京新聞のムラカミです。
そうすると、この日本学術会議法の第7条2項にあります「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」というこの規定というのは、推薦を受けても総理の判断で任命しないってことは、この法律上可能であるという解釈、認識をいま政府は持っていると、そういうことになりますか。

(長官)
推薦された人を義務的に任命しなければならないというわけではないというふうに考えております。

(記者)
東京新聞のムラカミです。
義務的に任命しなければならないというお話がありました。

(長官)
ならないというわけではない。

(記者)
ならないというわけではない、はい。
そうすると、えー、例えば憲法6条で規定されてるというのが国会の指名に基づいて内閣総理大臣の任命をすることや、また内閣の指名に基づいて最高裁判事を任命することも、任命しないことは同じく、任命しなければならないわけではないということになるんでしょうか。

(長官)
いや、その解釈はまた違う視点があるんだというふうに思います。
これはあくまでも憲法、いま憲法で、いまこれは法律ということでありますし、実際これについて先ほどから申し上げておりますように、あのー、専門領域での業績のみにとらわれない広い視野に立って総合的俯瞰的観点から活動を進めていくということでありますし、もともと、これも先ほど申し上げ、あ、午前中申し上げましたけれども、日本学術会議は内閣総理大臣の所轄の下にある行政機関でありますから、そこは異なるものだろうと思います。


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