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【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月8日)

【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月8日)

菅義偉首相が日本学術会議の会員6名の任命を拒否した問題で、加藤勝信官房長官は8日午後の会見で、日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議による提言から「会員は…自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点をもって向き合うことができる人材が望ましい」という文言を引用して、そうした考え方に基づいて任命を行ったと説明した。今後の報道や検証のため、日本学術会議関連の質疑応答の内容を全て記録する。(会見録一覧はこちら

(注)記者会見は公開情報ですので、転載等は自由です。首相官邸サイトの動画などで発言内容を確認し、日本学術会議関連の発言は全て抽出するようにしています。途中で別の内容で質疑応答があった箇所は横ラインを入れています。聞き取りにくい部分などは●●としています。必要に応じて正確を期すための修正を行います。

加藤勝信官房長官 定例記者会見(10月8日午前)

(記者)
朝日新聞のキクチです。話題変わりまして学術会議についておうかがいします。
再三昨日も伺った話で改めてなんですけれども、83年答弁との整合性についておうかがいします。
83年の「形式的任命にすぎない」という政府答弁と、今回18年にまとめられた「推薦どおり任命しなければならないわけではない」、この両者を比べたときに、いくら憲法15条の規定をひもといたとしても、「考え方を変えていない」とする政府の説明にはさすがに無理があるのではないかと思うんですけれども、改めて官房長官のご説明をお願いします。

(長官)
まず、何度も説明しておりますけれども、2018年の文書では、憲法15条第1項の規定に明らかにされているとおり、公務員の選定罷免権が国民固有の権利であるという考え方からすれば、任命権者たる内閣総理大臣が推薦のとおり任命しなければならないというわけではないという考え方、これは確認をした文書でありまして、そうした解釈でこれまでやってきている、そして、昭和58年の国会答弁も、当然そのような前提でなされたものである、したがって、平成30年の法制局文書と同じ考え方に立っているという、これはこれまでも説明してきたわけでありますし、ま、申し訳ないですけど、同じ質問を受けたらそういう答えになっていくということであります。

(記者)
重ねておうかがいします。朝日新聞のキクチです。
少なくとも任命に対する政府の姿勢、考え方は変わっているわけですから、方針を変えたと説明するほうが自然だと思います。
そこで、今回この法的解釈を変更するお考えというのはもともとなかったのかどうかおうかがいします。

(長官)
ん、今回、法的解釈を考える、変えるというのは…

(記者)
法的解釈を…、質問の仕方を変えますが、今回の任命に当たって、法的解釈を変更して任命しようとする、そういった検討をもともとされていなかったのか。

(長官)
いやですから、申し上げているように、解釈を変えているわけではありません。
そして、2018年の、いわゆる平成30年の法制局文書もまさにそこを確認をしたということでありますから、ま、あの、そういったことで、その文書も特に公表しているわけではなかったということであります。

(記者)
東京新聞のムラカミです。関連しておうかがいします。
いまの話ですけれども1983年答弁と2018年文書の整合性の話で、昨日の内閣委員会でも、小学生でもおかしいと思うんじゃないかという趣旨の話がありましたが、先日ですね、菅総理は経済財政諮問会議の挨拶でも、国民にとって当たり前の感覚を大事にというふうに話されていました。
あの、政府として先ほどの官房長官のご説明で、それ国民にとって当たり前と感じるご説明だというふうなご認識でいらっしゃるんでしょうか。

(長官)
あの、そう当たり前と感じるかどうかというのは、感じ方の問題かもしれませんが、国民の方にできるだけ分かりやすく、そして現行の憲法下のもとで、わが国は当然、法令がつくられ運用されているわけでありますから、それに沿った説明に努めているということでありますし、そういった観点もあり、この法制局との、文書ですね、2018年文書、それも公開をさせていただいているところでもあります。

(記者)
東京新聞のムラカミです。日本学術会議の、今度、学問の自由についてまたおうかがいいたします。
憲法23条の学問の自由について、昨日のご説明で「学術会議の会員が個人として有する学問の自由への侵害にはならない」旨のご説明をいただきました。
一方、個々の会員の学問の自由とは別に、行政機関でありつつも、日学法3条で独立がうたわれる日本学術会議における人事の自治という点では学問の自由は守られているとお考えでしょうか。

(長官)
ん、その人事の自治という趣旨がよく分からないんですが、法律に書かれており、そしてこれから縷々説明しているように、憲法で15条1項ということがありますよ、そのもとに法律があり、そしてそれにのっとって運用しているということ、それに尽きるわけでありますけれども。


2020年10月8日午前、首相官邸

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