支出についても見てみたい。平成24年に、2年分の収入299万5千円の全額を使い切っている。使途は、備品・消耗品費(50万円)、事務所費(100万円)、組織活動費(100万円)、調査活動費(49万5千円)だ。
まず、ここで注目したいのは、事務所費の100万円だ。その内容は不明だが、事務所の賃料である可能性が高い。しかし、事務所として登録されているのは野々村元議員本人の自宅だ。また、組織活動費と調査活動費については、いずれの支出も1件につき5万円未満として報告されているので、領収書の写しは一切添付されていない。
市民団体「政治資金オンブズマン」の共同代表を務める神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授は次の様に話している。
「号泣会見で話題になった政務活動費の支出のうち、視察旅費については、領収書の写しが一切添付されなかったのは違法ですが、問題はそれにとどまらない。例えば城崎温泉に視察したと報告されている去年9月2日は大雨でJRの特急電車がほぼ運休しており日帰りできる状態でなかったことが発覚しているし、そもそも自動券売機で領収書が発行されるのを知らなかったという弁明は、むしろ視察自体が全て嘘だったのではないかの疑惑を生じさせている。
その3年間の総額は約790万円で、そのうち2011年の視察分の支出総額は約146万円だ。これが政治団体への本人寄付約300万円の一部、つまり公金が政治団体に流れたのではないか、との疑惑を生じさせている。
また、政治団体の組織活動費と調査活動費の各支出については、5万円以上の支出が1件もなかったというのも不自然。代表も会計責任者も事務担当者も野々村元県議本人であり、それらを自分に支出していれば、野々村元県議本人がその合計額149万5千円を受け取った可能性が考えられる。事務所費も自宅の使用料あるいはまた電話代として100万円受け取った可能性が高い。いずれもポケットマネーにしたのではないかとの疑惑も生じる。
これらの疑惑を全て払拭するためにも、野々村元県議は、問題となった政務活動費の会計帳簿の公表はいうまでもなく、政治団体の会計帳簿と領収書を全て公表して説明責任を果たすべきだ」
野々村元県議の政務活動費の支出をめぐっては、兵庫県議会が虚偽公文作成・同行使の容疑で刑事告発している。
アイアジアでは野々村元議員に取材を試みたが、連絡がとれなかった。(アイ・アジア編集部 鈴木祐太)