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【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月7日)

加藤勝信官房長官 定例記者会見(10月7日午後)

(記者)
東京新聞のムラカミです。日本学術会議の推薦についておうかがいいたします。
今日の衆院内閣委員会で、1983年の国会答弁と2018年の文書とで考え方を変えたということではないとの答弁がありました。
2018年の文書では、推薦のとおり任命する義務があるとまでは言えないとしています。
しかし、83年11月の参院…文教委員会の丹羽国務大臣の答弁では、学会のほうからの推薦をしていただいたものは拒否はしない、形だけの任命をしていくと明確に述べています。
この場でも何度も聞いていますが、改めておうかがいいたします。
考え方を変えていないのであるならば、いまも推薦者は拒否をしないということになりますが、どうしてそうなっていないのでしょうか。

(長官)
そこは既にお配りをした文書でもありますが、憲法第15条第1項の規定に明らかにされているとおり、公務員の選定任命権が国民固有の権利であるという考え方からすれば、任命権者たる内閣総理大臣が推薦のとおりに任命しなければならないというわけではないという考え方を確認をしたわけでありまして、昭和58年の国会答弁も当然、現憲法下のもとでなされたわけでありますから、このような前提でなされたものであると認識をしております。

(記者)
東京新聞のムラカミです。
そうしますと、これも午前の会見とまた同じ繰り返しになってしまうかもしれませんが、その、昭和58年、1983年の国会での答弁も現憲法下でなされているということになりますと、その83年の段階で、えー、推薦をしていただいたものは拒否はしない、形だけの任命をしていくと、この答弁というのは、そもそも妥当だったんでしょうか。

(長官)
そうした答弁ももちろん踏まえて整理をさせていただいているわけでありますし、あの、あくまでも先ほど申し上げた、確認文書の中身に沿ってこれまでも対応してきたということであります。

(記者)
毎日新聞サトウです。
本日の内閣委員会で、内閣法制局の木村第1部長が「昭和58年の審議におきまして、法制局として答弁を申し上げているわけではございませんが、当時の資料を確認いたしますと、説明資料と思われるその資料の中に推薦人の推薦に基づいて全員を任命することとなっており、この任命は形式的任命であるという記述はございます」と述べられました。
ここで言う説明資料とはどのような位置付けの資料なのでしょうか。
また、全員を任命することとなっており、この任命は形式的任命であるというのは誰の見解なのか、長官はそのような資料があることを把握してらっしゃったのかも併せてお聞かせください。

(長官)
いま具体的に何を指しているのかということまで詳しく承知をしておりませんが、法制局から答弁の際「全員」と申し上げたのは、その資料では「会員」となっていた、それを読み間違えたんだという説明が聞いておりますし、いまそうした、間違えたということで国会にも説明をされているというふうに承知をしております。

(記者)
読売新聞のヤマザキと申します。関連しておうかがいいたします。
1983年の政府答弁ですとか、あるいは昨日内閣府が公表された資料に出てくる形式的任命という言葉なんですけれども、通常のその、この憲法ですとか各種法律にある総理大臣の権限としての任命、通常の任命というものと、この資料等に出てくる形式的任命というのは、それぞれどう定義付けられて、政府の方で定義づけていて使い分けをされているのか、その辺をお聞かせください。

(長官)
それはそれぞれの状況の中でですね、言葉が使われている、形式的任命という言葉が使われているんだろうというふうに思います。
あの全部網羅的に調べているわけではありません。
ただ、既にお配りした資料にもあるように、その形式的な任命に関しては、本件については憲法第15条…おー、公務員の選定、罷免権についてはですね、国民の主権に属すると、それを、いわば内閣が実行しているという、こうしたことに係る組織だという、そうした範囲の中における形式任命だという、そういう整理だというふうに思います。

(記者)
読売新聞のヤマザキです。関連しておうかがいいたします。
ということは、ともに、いずれも憲法15条に基づいている、その今回の学術会議の任命というのは、通常の任命ではない形式的な任命を政府として行ったという、そういう整理でよろしいですか。

(長官)
いえそうじゃなくて、私ども法律、憲法や法律に基づいてそれを実行しているということであります。
それをただ、どういう形で表現をするのかということについて、これまで国会で、当時…の議論の中でですね、形式的任命という言葉を使われたことがあるということは十分承知をしておりますが、その言っている意味においてもですね、いま言った憲法15条とか、そういったものがあるという中における、そうした言葉の使い方がなされている、こういうことであります。

(記者)
朝日新聞のキクチです。よろしくお願いします。あの、関連でおうかがいします。
菅総理は推薦の在り方について、グループインタビューで前例を踏襲してよいのか考えてきたと述べられて、今回の判断に至ったというご説明されました。
午前中の会見でも出ましたが、平成27年3月に取りまとめた学術会議の在り方についての今後の展望、長官からもご紹介ありましたが、現在の制度は期待される機能に照らしてふさわしく、これを変える積極的な理由は見いだしにくいという取りまとめになっています。
であればですね、この現在の制度には、こうした学術会議の在り方に加えて、推薦ですとか、任命の仕方等含まれると思うんですけれども、取りまとめでは積極的に変える理由は見出しにくいとしながら、今回、任命の仕方を変えていこうとするところには矛盾が生じているんじゃないかと思うんですが。

(長官)
いや、別にその、当時、26年当時はそういう結論があったと、たしか26年と申し上げましたかね…7年?7年ですか、に、そうした形で総合学術会議がですね、10年以内に議論、結論を出せって言ったのかな、検討しろと言ったことを踏まえた中での検討結果がそういうことであった、それは、その27年はそういうことであり、また先ほどのことは、まさに総理がそう感じておられたということを言われただけでですね、そこから直ちに今のやり方自体を変える、変えないということを言っているわけではないということであります。
その上で、縷々これまで説明してまいりましたけれども、任命に当たっての考え方、これはこれまで説明しているとおりであります。

(記者)
関連でおうかがいします。朝日新聞のキクチです。
今日の国会の審議でもたびたび出た言葉ですけれども、今回、任命判断の理由、あと任命を除外した理由として、長官もたびたびおっしゃられていますが、総合的俯瞰的活動を確保する観点に立ったというご説明があります。
総合的ですとか俯瞰という抽象的な言葉で含めてしまいますと、全てがその理由に当てはまると思うんですけれども、こうした説明が国民に受け入れられると長官は思われるんでしょうか。

(長官)
まさにそこは総合学術会議でですね、今回の日本学術会議に関して総合的俯瞰的立場に立った役割を期待するということを、ちょっと言葉はちょっと違っているかもしれませんが、そういった趣旨のことが言われているわけでありますから、当然そうしたことが総合学術会議から提言がなされて、それにのっとってもちろん法律も学術会議法も変更がなされ、また違う形での推薦が行われてはいるわけですけれども、しかしそういったことが求められているということはそこで明らかにされているわけでありますから、当然政府においても任命に当たってそういったことを踏まえるということは当然なんではないかというふうに思います。
(職員から助言の紙を渡される?)
あ、失礼、総合科学、総合科学技術会議。失礼しました。

(記者)
東京新聞のムラカミです。続いておうかがいします。
いまご説明で、83年から2018年の間にですね、推薦も違う形で行われているというようなご説明をいま、いただいたかと思います。
もともと会員からの、あ、ごめんなさい、学会からの推薦が、えー、現会員からの推薦というふうに変わったと。
で、それが変わったという点はあるとしてもですね、その83年の時点で、形だけの任命で推薦をしていただいた者は拒否しないという答弁から、2018年に推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないというふうに変わるのが、どうしてそう変わるのかというのがやはりちょっとなかなか、なぜなんだろうかということがあるんですけど、そこのところもう一度、ちょっとおうかがいしてもよろしいでしょうか。

(長官)
そこは、これまでも違う形でのご質問をいただきましたけれども、当時からの憲法15条というのは変わりはないわけでありますし、当然その中で、行政機関、公務員の選定等に関するそうした規定、そしてそれを、いわば政府がですね、実際、任命という形で実施をしている、その構造は何も変わっていない。
したがってそうした答弁も、あくまでもそうした構造と言っていいかですけど、憲法と法律との関係の中を踏まえた答弁がなされてきているわけでありますし、この平成30年の確認もですね、そうしたことを踏まえて確認文書がつくられ、あの、つくられているということであります。


2020年10月7日午後、首相官邸

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