
SNSで「中国人が日本で出来ること一覧」という趣旨の言説が拡散されている。その1つ、「自由に起業できる」について調べた。条件を満たせば中国人も他の外国人同様に可能だが、一定の要件を満たす必要がある。
対象言説
「中国人が日本でできること一覧」の「自由に起業できる」
Xの投稿(2026年7月23日現在で59769回表示され、2000回以上リポストされている)。
結論
中国人も他の外国人と同様に日本で起業することは可能だが、一定の要件を満たす必要があり、「自由に起業できる」というものではない。
ファクトチェックの詳細
「自由に起業」ができるとは、誰でもどのような状況でも会社を立ち上げて経営できることという意味と理解した上で、ファクトチェックする。
出入国在留管理庁トップページから在留資格「経営・管理」のページを確認した。
それによると、外国人が日本で事業の経営を開始する場合、法務省(出入国在留管理庁)にて在留資格「経営・管理」の許可を受けなければならない。
在留資格「経営・管理」に関する上陸許可基準を参照すると、外国人が日本国内で事業の開設や経営を行うには以下の条件を満たすことが必要となる。

つまり、①事業所の確保:申請に係る事業を営むための事業所が日本国内に存在すること。当該事業が未開始の場合は確保されていること。②事業規模・雇用:日本に居住する常勤の職員(特定の在留資格保有者を除く)が従事しており、かつ事業に関する財産の総額(資本金の額及び出資の総額)が3,000万円以上であること。③日本語能力:経営を行い又は事業に従事する者のうちいずれかが、高度に自立して日本語を理解し使用できる水準以上の能力を有しており、日本に居住すること。④学歴または経歴:経営管理や事業に必要な分野における学位(博士・修士・専門職学位)を有していること、または事業の経営・管理について3年以上の経験を有していること。⑤報酬:申請人が管理に従事する場合は、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること。
因みに、経済産業省が推進する「外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)」という制度がある。これは、「我が国の産業の国際競争力を強化するとともに、我が国に国際的な経済活動の拠点を形成することを目的とした制度」で、外国人の起業を支援するものだ。
ただし、誰でも支援を受けられるわけではなく、このを利用する場合、「起業準備活動計画」の確認を受けた上で、1年以内(更新時は6か月以内)に「資本金等3,000万円以上」「常勤職員1人以上の従事」「事業所の確保」「1年以上の経営経験または修士相当以上の学位」といった要件を満たす見込みがあることが要件となっている。
これらより、3,000万円以上の資金調達や出資、国内での事業所の確保、学歴・経歴や日本語能力といった法律上の「条件を満たした中国人」においては、日本で会社を設立し起業することができると言える。しかし、無条件に誰もが自由に起業できるわけではない。
したがって、中国人も他の外国人と同様に日本で起業することは可能だが、一定の要件を満たす必要があり、「自由に起業できる」というものではない。
(石盛なごみ)
編集長追記
これについて発信者の方に問い合わせたところ、「そんなのは当たり前です。例えば運転免許は誰でも自由に取れます。でも18才以上という要件があります。これと同じことです。」との返信がありました。ただ、運転免許については受験資格があり、「誰でも自由にとれます」とはなっていません。


