沖縄県知事選(9月30日投開票)で、自民・公明などが支援する佐喜真淳・前宜野湾市長と翁長県政を引き継ぐ立場を表明した玉城デニー・前衆議院議員が激しく競っていると伝えられている。そうした中、玉城候補が「一括交付金の創設を直談判して実現にこぎつけたこと」が自らの実績だと主張したのに対し、一部で事実ではないとの批判が出て、論争になっている。これについてファクトチェックを行った。 (楊井人文)
【対象言説】
「『県や市町村の自由裁量度が高い予算=一括交付金(通称)の創設』を、政府与党(当時民主党)に玉城が直談判して実現にこぎつけた」
《以下が、玉城候補が9月14日にフェイスブックに掲載した内容。》
国会に身を置いていた玉城に「一番成果を上げたこと、実績は何ですか?」と尋ねられた。それは何と言っても「第5次沖縄振興計画を沖縄側が主体的に作る戦略」ということとセットして、「県や市町村の自由裁量度が高い予算=一括交付金(通称)の創設」を、政府与党(当時民主党)に玉城が直談判して実現にこぎつけたこと、だと自負している。
この制度は前の与党(自民党)では「到底無理だ」と言われていたらしく、元知事でさえ「相当厳しい」と漏らしていると聞いていた。
2010年から2011年にかけて、反対意見多勢の内閣府沖縄振興担当とケンケン轟々の議論の末に勝ち取ったこの制度は、2012年から実際に現在も施行されていて、現在の沖縄県の振興にも大きな成果をもたらせている。(以下、略)
(玉城デニー氏のFacebook投稿より)
【判定】ほぼ事実(1エンマ)
玉城氏が沖縄振興一括交付金制度の「創設」を「直談判」したとの主張は、国会質疑における発言(2011年6月1日)と首相官邸への提言(同年7月8日)が確認できることから、「事実」に基づく主張と言える。「実現にこぎつけた」という部分は、一定の寄与はあったであろうが、人により評価の分かれる点もあり検証はできないと判断した。
ただし、制度が創設され、その過程において玉城候補が「直談判」を行っている事実が確認されている点に嘘はなく、一括交付金の創設を「政府与党(当時民主党)に玉城が直談判して実現にこぎつけた」という言説は「ほぼ事実」と判定する。