●工場内は撮影禁止
門を入って2、3分歩くと、クリーム色の3階建ての建物がある。役所といった風情だが、実はここで燃料が作られている。つまり製造工場だ。
工場に入るときには、カバンやカメラ、携帯、それにポケットに入っているもの全て出すように指示された。つまり撮影は禁止ということだ。
靴にカバーをかけ帽子をかぶり、駅の自動改札口のような機械を通って中に入った。靴カバーや帽子は、事故の際に放射性物質が付着しないようにという配慮だろうか。
見学が認められたのは、燃料製造の最後の工程を行う部屋だった。ウラン粉末を固めた約1センチ四方のペレットを燃料集合体にするのだという。部屋は、4メートルの燃料棒を縦に置いても十分に余裕があるほど天井が高かった。作業するスペースは、小学校の教室二つ分というところだろうか。部屋の奥には燃料棒をしまう倉庫、倉庫の反対側には燃料棒を出荷する時に使用する入れ物が10個以上、2段にして並べられていた。
●原子力の燃料とは
海外のウラン鉱山で採れたウランは濃度が低いので、原発で使う燃料にするためには濃縮し加工しなければならない。この工場では、粉末状の二酸化ウランを固め、燃料集合体にする工程を行っている。
工場では、小さなペレットを積み重ね4メートルの細長い棒にして、その棒を縦17本横17本で束ねて1本の燃料集合体を作っていた。つまり1つの燃料集合体に、264本の燃料棒が入っている計算だ。
驚いたのは、ペレット加工も燃料棒組立も検査は人間の手で作業されることだ。当然、作業員は被曝をする。説明では、工場内での作業では線量計を手放してはいけない決まりになっているという。この工場では、これまで一番多かった被曝量は2ミリシーベルトだったそうだ。それでも福島の飯館村にいるより低い線量ですねと聞くと「そうですね」と答えにくそうに社員が答えた。