「これまでは、タンクローリーを駐車するスペースがほとんどなかったので、何かあった時に対応できなかったんです」
タンクローリーは、非常時の原発の電源を確保するために必要な重油を備蓄するためのものだという。「なるほど、それは重要だ」と思ったものの、直ぐに考え込んでしまった。川内原発に続く道は片道一車線の一本道であり、その道路が地震などで通れなくなるとたちまちタンクローリーは動けなくなる。
その職員は次の様に説明した。
「福島第一原発の事故が起きる前は、川内原発では重油を3,5日分しか備蓄していませんでしたが、現在は7日分以上備蓄できるようになっているんです」
つまり道が通れなくなっても、7日はもつから大丈夫ということなのか。ただ、その後の説明に一瞬、戸惑った。
「川内原発で働く九州電力の社員でがれきの除去のために必要な重機の免許を持っている人はいませんでした。それで急きょ職員に免許をとらせて現在は40人以上の社員が重機の免許を取得しています」
この話を聴いた時、原発に詳しいある脱原発派の人の言葉を思い出した。その人は、「福島第一の事故は大変な事故であることに変わりはないんですけど、あれはある意味、東京電力の原発で起きたからラッキーだったんですよ。東京電力はやはり他の電力会社に比べて人材も資材も豊富です。だから良かったとは言いませんが、仮に他の電力会社の原発で同じことが起きていたらと思うとゾッとします」
職員は説明を続けた。