大阪市役所
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橋下大阪市長が新たに条例まで作って奥下剛光氏を特別秘書に採用したことは裁量権の逸脱だとして、大阪市の住民が給与の支払いの停止と、すでに支払われた報酬の返還を求めている裁判で、12月9日に奥下氏本人が大阪地裁に出廷して尋問が行われることになった。(アイ・アジア編集部)
業務内容記録ゼロ
大阪市が2012年12月に明らかにしたところによると、奥下氏には出勤を示す文書やタイムカードがなく、業務内容を示す文書も、さらには、会議などに参加したことを示す文書も、公務に関する活動をしていたことを示す文書もなかった。つまり秘書としての業務内容記録はゼロであった。
そのため、2013年5月に奥下氏への給与の支払いの停止と既に支払われた報酬のうち629万円余りの返還を求める訴えを大阪地方裁判所に起こされていた。12月9日に開かれる大阪地裁での公判では、まず大阪市の秘書課の職員、続いて奥下氏に対する尋問が初めて行われる。公判は午後1時30分より4時までの予定。
後援会長の息子を「情実採用」の疑惑
奥下氏は、橋下市長の後援会会長である奥下素子氏の息子だ。2008年から2012年までの4年間に、奥下秘書の親族が、橋下後援会に3479万円の政治資金を集めていた。そのため、支援者に対する「情実採用」ではないかとの批判が絶えなかった。
さらに奥下氏は、橋下氏が関係する選挙の度に6回も休職-復職を繰り返していた。大阪市人事室に確認すると、今年に入っても、いわゆる「大阪都構想」の住民投票直前二カ月間と、11月に行われた府知事・市長のダブル選挙でも約一カ月休職していた。
にもかかわらず、今年10月までに総額2087万円もの報酬を受け取っており、大阪市民の税金を使って奥下氏を「私設秘書」のように使っているとの批判を浴びていた。
橋下市長が任期満了でこの12月に退任するのに伴い、奥下氏も特別秘書職を辞めることになる。しかし、奥下氏をめぐる様々な疑惑や問題については、退任後も継続して法的責任が問われることになる。
提訴した住民の代理人阪口徳雄弁護士の話
「奥下氏は大阪市の仕事でなく『橋下維新」の政治活動をサポートする『私設秘書』の仕事を公費で行っていたようなもの。それを法廷で暴露していきたい」