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新しい調査報道考えるシンポジウム報告(2) パナマ文書プロジェクトから見直す日本の調査報道

小黒さんは、日本のジャーナリズム界で栄誉とされる新聞協会賞にNHKの「天皇『生前退位』の意向」報道が選ばれたことを挙げ、同じスクープでもパナマ文書報道はこれと大きく異なることを指摘した。高田さんは「日本では他と違う、他より速いという物差しだけが大手を振ってきた」として、「スクープの基準、スタンダードがない」と批判した。

立岩さんはまた、「日本の大手メディアは他社の特ダネが追えなかったら書かない。時には抹殺するケースもある」と指摘し、「パキスタンのメディアは、ムシャラフの不正を書こうとして圧力がかかった時、『我々が書かなくても他国のメディアは書きますよ』と言った。こういう他のメディアとの共闘が出来るのか、その土壌が試されている」と述べた。

高田昌幸さん(中央)と立岩陽一郎さん
高田昌幸さん(中央)と立岩陽一郎さん

高田さんは、日本の報道業界が昭和30年代から「明日発表されるものを今日書く」ことに執着していること、その原因は日刊新聞の記者の大半が官庁の記者クラブに張り付いていることにあることなどを指摘。日本の報道は他国に比べて役所発表が多いという現実に絡め、「役所に記者が張り付く状態が変わらなければ日本の報道は変わらない」と訴えた。

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