‘無所属の細野豪志衆議院議員が去年の衆院選期間中に証券会社から5千万円を受け取っていた問題で、この資金の受け取りは法律に違反する疑いが有るとして、市民団体「政治資金オンブズマン」が刑事告発する準備を進めている。
団体で直接議論に関わっている関係者が匿名を条件に明らかにした。
「ニュースのタネ」は匿名情報の取り扱いについて厳しいルールを課しているが、実名を公表することによって関係者が受ける不利益を考慮して実名を回避した。
この細野議員の問題は朝日新聞が最初に報じたもので、それによると、細野議員側は去年10月、都内にある証券会社に対して政治活動を支援する目的だとして貸し付けを依頼し、暫く後の去年10月19日に5千万円の提供を得たという。
衆議院選挙の投開票は3日後の10月22日に行われており、資金提供が行われたのはその選挙期間中だった。
細野議員は朝日新聞が報じた後に国会内で報道陣の取材に応じ、自身の選挙資金としての借り入れではないと主張した上で、当時、希望の党に所属していたことを挙げ、「党をどう運用していくのか。政党助成金が入ってこなければ、それぞれの議員が活動できない」と述べて、選挙後の希望の党の活動資金が必要になった場合を想定しての借り入れだったと語った。
説明によると、実際には使う必要が無くなったので利子をつけて返済したということで、あくまで個人としての借入金だったと強調。細野議員側は、個人の借入金を報告する資産報告書で訂正を届け出ている。
しかし朝日新聞のその後の取材で、借入が行われた当時は借用書も無かったことが明らかになっている。
これについて「政治資金オンブズマン」は、専門家を交えて議論を重ねた結果、「細野議員への寄付だった可能性が高い」と判断。近く団体として東京地検特捜部に刑事告発することを決めた。
この関係者は、「不透明な金のやり取りが明らかになると借入だったと言って、返して終わりというのは、政治家の常套手段といった感じがする。仮に寄付であれば、政治資金規正法は、政治団体への寄付は制限の範囲で認めているが、公職の候補者個人への政治活動についての寄付は禁止しており違反だ。また仮に、選挙運動への寄付であれば可能だが、それであれば、選挙運動収支報告書に記載しなければならない」と話しており、政治資金規正法か公職選挙法の何れかに違反する疑いが高いとしている。
この刑事告発については、来週7月7日土曜日に早稲田大学で開かれるシンポジウム「政治と金をどうチェックするか」で、政治資金オンブズマンの関係者が、詳しい内容を明らかにすることにしている。