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【コロナの時代】WHOのワクチン国際共同開発に中国が参加表明 

【コロナの時代】WHOのワクチン国際共同開発に中国が参加表明 

新型コロナのワクチンを各国に平等に分配するためにWHOが進めているCOVAXファシリティに、新たに中国が参加を表明した。WHOは「これで世界の90%を対象とした仕組みができた」として、ワクチン開発に弾みがつくとしている。(立岩陽一郎)

WHOは10月12日に本部のあるジュネーブで会見を行った。この中で、テドロス事務局長は、その数日でこれまでで最も新規の感染者数が増えていることに触れて、「特にヨーロッパと南北アメリカで感染の増加が確認されている。入院と集中治療室の占有率増加が報告されている」と述べて危機感を表した。

世界の感染状況を伝えるWHOのリポート

また、そうした国々で、感染によって人々が集団免疫を獲得するとの期待が出ていることについて次の様に話した。

最近ウイルスを拡散させることで集団免疫を獲得するという議論がある。しかしそもそも集団免疫とはワクチン接種に使用される概念であり、無防備にウイルスに人をさらすのではなくワクチンでウイルスから人を守ることで達成される。選択肢は都市封鎖かウイルス拡散の2択ではない」。

そして「多くの感染増加を経験した国が広範囲の感染拡大を食い止める証明された最善の手法をもっている。症例発見、隔離、検査、治療、接触確認、検疫、ソーシャルディスタンス、手洗い、マスク、換気、混雑を避けることである。「コンタクトトレーシング」(接触確認)を助けるモバイルアプリケーションもその一助になる」と述べて、情報技術を駆使しつつも、従来から言われている感染症対策を各国が徹底することを求めた。

この後、オンラインを使っての記者会見が行われ、新型コロナのワクチンを各国に平等に配分する目的でWHOが進めているCOVAXファシリティについて中国が新たに参加を表明したことが明らかにされた

この中で、ソウミャ・スワミナサン博士は、「これで世界の人口の9割がこのプログラムに参加することになった」と述べたが、「供給するための資金はまだ不足している」として、引き続き各国に協力を呼び掛けた。

COVAXファシリティは GAVI (ワクチンと予防接種のための世界同盟) が新型コロナのワクチンの公平な普及のために立ち上げた仕組みで、WHOが推進している。先進国は自国の公的予算から、低所得国は各国などからの寄付金によってワクチンを手当てする。WHOは、このCOVAXによって、2021年末までに、規制当局の承認やWHOの事前承認を受けた20億回分のワクチンを提供することを目指している。日本やEUは参加を表明しているが、ワクチン開発で世界をリードするアメリカと中国の参加が焦点となっていた。アメリカは参加しないと見られている。

インファクトはFIJの新型コロナ国際ファクトチェック・プロジェクトに参加しており、この記事の作成にはFIJの常松英恵リサーチャーが協力しています。

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