自民党の細野豪志衆議院議員が自身のTwitterで、「防衛費の増加については立憲、共産、社民のいわゆるリベラル政党が反対の立場」と発言した。しかし、共産党、社民党は防衛費増加については反対の立場だが、立憲民主党は必ずしも反対しておらず、この発言は不正確だ。(浅香玲菜・梅谷悠祐)
チェック対象
「防衛費の増加については立憲、共産、社民のいわゆるリベラル政党が反対の立場」
(Twitter、2022年6月19日投稿)
結論
【不正確】共産党、社会民主党は防衛費増加については反対の立場だが、立憲民主党は防衛費増加には反対していない。
「リベラル政党」の立場
細野氏は「いわゆるリベラル政党」として、3つの党を挙げている。このうち共産党は選挙公約の中で、「平和と暮らしを壊す軍事費 2 倍化の大軍拡を許しません」と防衛費の増大に反対している。また、社民党も「ウクライナ危機に便乗した防衛力大幅増強の動きに反対します」としている。
しかし、立憲民主党は選挙公約で、防衛費の増額に対して明確な反対をしておらず、「防衛費は総額ありきではなく、メリハリのある予算で防衛力の質的向上を図る」としている。「あくまで必要な防衛予算は積算によって行われるべきだという考え方で、この防衛予算について我々として検証、予算の確保、こういう立場を取らせていただきたい」と泉健太代表が4月27日、代表記者会見で話している。
したがって、立憲民主党は防衛費の増加に関して、はっきり賛成とも反対とも、態度を明らかにしていないと言える。
各政党の防衛費に関する公約
各党が防衛費に対してどのような立場を取っているかを表にまとめた。
結論
各党の選挙公約を確認してみると、立憲民主党は防衛費に関して、「総額ありきではなくメリハリのある予算で防衛力を向上させる」という立場を取っている。したがって、「防衛費増加については立憲、共産、社民のいわゆるリベラル政党が反対の立場」という細野氏の発言のうち、立憲民主党に関しては誤りである。一方で、共産党、社会民主党は防衛費増加には反対の立場であり、この部分は正確であった。このため、全体として不正確と判定する。
ファクトチェックは発言者や発信者を批判するものではなく、あくまでも発言、発信が事実か否かを検証する取り組みだ。
2エンマ大王
InFactはレーティングをエンマ大王で示している。問題のツイートは「不正確」であり、これは2エンマ大王となる。
エンマ大王のレーティングは以下の通り。
- 4エンマ大王 「虚偽」
- 3エンマ大王 「誤り」
- 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
- 1エンマ大王 「ほぼ正確」
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