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【FactCheck】”「日本人みたいな名前」で犯罪起こされたら、「日本人犯罪」としてカウントされる”は誤り

【FactCheck】”「日本人みたいな名前」で犯罪起こされたら、「日本人犯罪」としてカウントされる”は誤り

「日本人のような名前(通称名)で犯罪が起きると、統計上は日本人が犯罪を起こしたことになってしまう」という趣旨の投稿がSNS上で拡散した。通称名を使う外国籍の人物による犯罪は、実際に日本人の犯罪として統計に計上されているのか。ファクトチェックした。

対象言説

中国籍の男が出入国管理法違反の罪で逮捕されたことを報じた宮城テレビ放送(MMT)の『ミヤテレNEWS』(2024年11月13日)の動画を切り取った内容と共に、「これマジで一番ヤバいやつ。 「日本人みたいな名前」で犯罪起こされたら、「日本人犯罪」にカウントされる。 俺たち知らぬ間に犯罪率背負わされてる可能性あるんだぜ。マジ最悪だろ! さっさと通名制度なくせよ!」とのXの投稿がなされている。投稿は2026年6月16日時点で、表示415.5万件、「いいね」8万件、リポスト1.7万件を記録するなど、拡散している。

この投稿のうち、「「日本人みたいな名前(日本風の通称名)」で犯罪を起こすと、日本人の犯罪としてカウントされる」を対象言説とした。

(Xの投稿 2026年4月11日)

結論

警察の犯罪統計は、被疑者の氏名や通称名ではなく、「国籍」に基づいて分類・集計されている。したがって、外国籍の被疑者の名前が日本風であったり日本の通称名を使用していたとしても、それが統計上で「日本人の犯罪」としてカウントされるわけではない。したがって、「通称名で犯罪が起きると、統計上は日本人の犯罪としてカウントされてしまう」というSNS上の言説は誤りだ。

ファクトチェックの詳細

警察への確認

上記ポストが事実かどうかを確認するため、京都府警察に問い合わせた。具体的には5月29日に以下について質問した。

①被疑者を特定する際、氏名・住所・年齢等とともに、国籍情報も確認されるのでしょうか?

②犯罪続計を集計する際、被疑者の分類は氏名や通称名ではなく、法的な国籍情報に基づいて行われているのでしょうか?

③外国籍の人物が日本風の通称名を使用していた場合でも、統計上「日本人の犯罪」として扱われることはない、という理解でよいのでしょうか?

④上記の運用は京都府響だけでなく、全国的にも共通した警察実務として行われているのでしょうか?

6月3日、京都府警察本部に直接伺った。対応したのは、京都府警察本部刑事部犯罪情報分析課。回答を文書で出してくれ、更に口頭で説明してくれた。以下がその回答だ。

Q1 被疑者を特定する際、氏名・住所・年齢等とともに、国籍情報も確認されるのでしょうか?

A1 捜査や裁判における「人違い」の絶無を期すため、被疑者を特定する必要があります。そのため、関連法令(刑事訴訟規則 第164条・起訴状の記載用件)の規定に基づき、氏名・住所・年齢・本籍(国籍)等を確認しています。

Q2 犯罪続計を集計する際、被疑者の分類は氏名や通称名ではなく、法的な国籍情報に基づいて行われているのでしょうか。

A2 国籍等も確認しています。刑事訴訟法に基づく関係機関への照会により確認します。

Q3 外国籍の人物が日本風の通称名を使用していた場合でも、統計上「日本人の犯罪」として扱われることはない、という理解でよいのでしょうか。

A3 被疑者が検挙された場合、捜査の過程で特定された事項が犯罪統計に反映されますので、検挙された外国籍の被疑者が日本人として集計されることはありません。

Q4 上記の運用は京都府響だけでなく、全国的にも共通した警察実務として行われているのでしょうか。

A4 全国警察で共通している手続きです。

警察からの回答のまとめ

これらの京都府警察からの回答から、次のことがいえる。

①被疑者の特定段階で「国籍」を確認。

警察の捜査段階において、被疑者の特定は極めて厳格に行われている。氏名や住所、年齢だけでなく、本籍(国籍)についても必ず確認しているという。その根拠として、京都府警は刑事訴訟法第256条や刑事訴訟規則第164条、第196条を挙げた。これらにより、起訴状への本籍の記載や、裁判における人違い防止のための「人定質問」が義務付けられている。つまり、捜査や裁判における「人違い」を絶無にするため、警察の捜査から検察の起訴、裁判にいたる各段階で、法的な国籍情報が徹底して確認されている。

②名称或いは通称名ではなく、関係機関への照会により確認された「国籍」で集計。

確認された情報が、そのまま犯罪統計へと反映される。犯罪統計を集計・作成する際には、被疑者の氏名や通称名といった外形的な要因で日本人か外国人かを分類しているわけではない。刑事訴訟法に基づく照会制度を利用し、出入国在留管理庁などの関係機関へ直接照会を行うことで、被疑者の正確な「法的な国籍情報」を確認・登録している。

③全国警察で共通する一元化された運用。

こうした運用は京都府警独自のものではなく、全国共通の警察実務だ。国家公安委員会が定める「犯罪統計規則」や「犯罪統計細則」によって、統計原票に記録する事項や集計方法が厳格に定められており、全国の警察で共通の手続きとして運用されている。各都道府県警察で確認された被疑者情報は、国籍情報を含めてデータベース上で一元管理・集計されている。

補足情報

【補足①】外国人住民の通称名について

日本国内に住む外国人住民は、本国名(本名)とは別に日本国内で日常的に使用している氏名を「通称(通称名)」として登録することが可能である。千葉県柏市の公式規定を基に詳細をまとめた。

1. 通称名の定義と記載される書類

通称名は「本国名とは別に日本国内で日常的に使用している氏名」と定義されている。登録された通称名は「住民票」には記載されるが、出入国在留管理庁が発行する「在留カード」や「特別永住者証明書」には記載されない。

通称名として登録できる文字は、日本人が戸籍に記載できる文字(ひらがな、カタカナなど)に限られる。登録できるのは「日本式の氏名」であり、ミドルネームの登録は可能だが、本国名そのものを通称名として登録することはできない。また、本国名が漢字表記の方が、その漢字表記の本国名を通称名として登録することも不可とされている。

2. 通称名として登録できる氏名の範囲

通称名として登録が認められるのは、主に以下の4つのケースに該当する氏名である。

・社会生活において日常的に使用している本国名以外の氏名

・日本人配偶者の氏、または外国人配偶者の通称の氏

・外国人の親が通称として使用している氏

・日系外国人の方の日本式氏名部分

3. 「2点の客観的資料」を要する登録審査

通称名を新しく登録する際には、その名前が社会生活において日常的に使用されている実績を証明しなければならない。そのため、本人確認書類のほかに「日常的に使用していることを証する資料2点」の提示が義務付けられている(例:勤務先又は学校等の発行する身分証明書、国家資格の証明書、携帯電話やアパートの契約書等)。

≪例外≫日常的な使用実績がなくても登録できるケース

婚姻等の身分行為により相手方の氏(または通称の氏)を名乗る場合や、日系外国人の方が自身の氏名の日本式氏名部分を通称名とする場合は、日常的な使用実績を示す資料がなくても登録が可能。ただし、この場合は本人の親や配偶者の氏名・通称が確認できる「戸籍謄本」や「出生証明書」などの資料提示が必要となる。

4. 厳格に制限される「通称名の変更」

一度登録された通称名について、原則として変更を認められていない。例外的に変更の申出が認められるのは、婚姻等の身分行為に伴い、相手方(日本人または外国人)の氏、あるいは相手方の外国人が使用している通称の氏に変更する場合のみである。

5. 届出の対象者

手続きを行えるのは、原則として本人または同一世帯の親族である。別世帯の親族や第三者が任意代理人として申請する場合は本人が署名した委任状が、法定代理人が申請する場合は代理人の資格が分かる書類(戸籍謄本や出生証明書等)の持参がそれぞれ必要となる。

【補足②】外国人登録法について

法務省だより あかれんが(Vol.39)』によると、2012年7月9日、従来の「外国人登録法(1952年)」が廃止され、国が一元的に外国人の在留状況を管理する「新しい在留管理制度」がスタートした。

1. なぜ外国人登録法は廃止されたのか?(目的)

これまでは、国(入国管理局)が行う「出入国管理」と、各市区町村が行う「外国人登録」という、2つの異なる仕組み(二元的な管理)で情報が扱われていた。 しかし、これでは不法滞在などの状況を正確に追い切れない課題があった。そこで古い外国人登録法を廃止し、法務大臣が中長期の在留者の状況を「一元的かつ継続的に把握する」ための新しい制度へと一本化された。

2. 広報誌「あかれんが」が挙げる主な変更点

・「在留カード」の交付

中長期の在留者を対象に、従来の「外国人登録証明書」に代わって、国(法務省)が発行する「在留カード」が交付されるようになった。氏名や国籍、在留資格が1つのカードで証明される。

・特別永住者は「特別永住者証明書」へ

歴史的経緯を持つ特別永住者の方には、在留カードではなく別の「特別永住者証明書」が市区町村の窓口で交付される仕組みに変わった。なお、この新制度から特別永住者の常時携帯義務はなくなっている。

・在留期間の延長

就労資格や「日本人の配偶者等」の在留期間の上限が、それまでの「3年」から、最長「5年」へと拡大された。

・再入国手続きの簡素化(みなし再入国許可)

出国から1年以内に同じ在留資格で日本に戻る場合、事前に役所で再入国許可を取る必要が原則なくなる「みなし再入国許可」の制度が導入された。

(川崎有香子、光田彩乃)

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