【FactCheck】古屋圭司議員（自民）の「神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが、立証されている」は「根拠不明」

自民党の古屋圭司衆議院議員が3月6日、「神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが、『ニュートン誌』染色体科学の点でも立証されている」とTwitter上で発信した。しかし「科学雑誌Newton」はそうした記事の掲載を否定しており、「根拠不明」だ。（三井滉大/立岩陽一郎）

チェック対象

「神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが、「ニュートン誌」染色体科学の点でも立証されている」
（Twitter、2022年3月6日投稿）

結論　根拠不明

「科学雑誌Newton」はそうした記事の掲載を否定している。

古屋圭司議員の発信は以下だ。

「党憲法改正実現本部長として橿原市にて講演前に神武天皇が祀られる橿原神宮を参拝。天皇制度は如何に男系男子による継承維持が歴史的に重要か、神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが、「ニュートン誌」染色体科学の点でも立証されている。近代の男女同権という価値観とは次元が異なる。」

このうち事実関係を確認できる「神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが、「ニュートン誌」染色体科学の点でも立証されている」のみをファクトチェックの対象とした。

「ニュートン誌」とは、一般的に「科学雑誌Newton」だと考えられる。このため、同誌の発行元である株式会社ニュートンプレスに、「神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが」「立証されている」とするような記事を掲載したことがあるか尋ねた。

これに対して同社は「神武天皇および今上天皇のY染色体について言及した記事はございません」と回答し、そうした事実の無いことを明らかにした。

では、古屋議員は別の「ニュートン誌」からそうした記述を見つけたのだろうか？これについて古屋議員の事務所に、「科学雑誌Newton」が古屋議員のツイートの内容を否定していることを伝えた上で、どの「ニュートン誌」で立証されたのかを質問した。質問は事務所の要望に従ってファクスで行ったが、古屋議員事務所からは、回答期限とした3月24日時点でも回答はなかった。

古屋議員の側から明確な回答が無い段階であり「誤り」とはできないが、少なくとも「科学雑誌Newton」は立証の事実を否定しており、古屋議員のツイート内容は根拠不明と言わざるを得ない。