インファクト

調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します

【FactCheck】「CDC長官『コロナ死亡者の75%以上は4つの合併症がある人だった』はフェイクニュース

【FactCheck】「CDC長官『コロナ死亡者の75%以上は4つの合併症がある人だった』はフェイクニュース

「CDC長官『コロナ死亡者の75%以上は4つの合併症がある人だった』」という情報がTwitterで拡散した。しかし、当該ツイートがその根拠として使用している動画は、米CDC長官のインタビューを切り取り内容を歪めるフェイクニュースだ。(佐藤翠)

チェック対象

「CDC長官『コロナ死亡者の75%以上は4つの合併症がある人だった』」
(Twitter、2022年1月18日投稿)

結論 虚偽

元々のインタビュー動画でCDC所長のワレンスキー氏は「ワクチンを2回接種済みの人のうち、新型コロナウイルスに感染し死亡した患者の75%が元々4つの合併症を持っていた人だった」と述べており、「コロナ死亡者の75%以上は4つの合併症がある人だった」とは言っていない。作為的な行為であり、虚偽と判定する。

動画はインタビューを切り取り

拡散した10秒程度のこの動画は、アメリカの極右ニュースチャンネルNewsmaxが発信したもの。動画内では、「CDC=アメリカ疾病予防管理センターのワレンスキー所長が、『コロナ死亡者の75%以上は4つの合併症がある人だった』と述べた」と説明されている。現在はこの動画を含んだツイートは削除されているが、複数の日本語のツイートYouTube動画がこの動画を拡散させた。

この動画はABCニュース「Good Morning America」でのワレンスキー所長のインタビューの一部を切り取ったものであり、内容は正しくない。実際のインタビューではワレンスキー所長は、「ワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染した数少ない死亡者のうち、75%以上が元々4つの合併症を持っていた元々体調が悪い人だった」と話している。ワレンスー所長が語った「75%」とは、ワクチンを接種した後に感染して死亡した人であって、コロナウイルス患者全体の死亡者数について述べているものではない。

実際の発言

元々のインタビュー動画を確認する。キャスターに「ワクチンの効能が新型コロナウイルスの重症化を防いでいることを踏まえ、(新型コロナ)ウイルスとどのように共存していくかを考える時ではないでしょうか」と聞かれたことに対し、ワレンスキー所長は以下のように答えている。

(2:45~) You know really important study if I just may summarize it a study of 1.2m million people who were vaccinated between December and October and demonstrated that severe disease occurred in about 0.015 percent of the people who received their primary series and death in 0.003 of those people. (非常に重要な研究結果によると、(2020年)12月から(2021年)10月までに2回のワクチンを接種した120万人のうち、重症化したのは、0.015%、死亡したのは0.003%です)。

The overwhelming number of deaths over 75 percent occurred in people who had at least four comorbidities so really these are people who were unwell to begin with, and yes really encouraging news in the context of omicron, this means not only just to get your primary series but to get your booster series and yes we’re encouraged by these results. (死亡者のうち、75%以上が少なくとも4つの合併症を持っていた、元々体調が悪かった人たちです。オミクロン株が広がる中でこのような研究結果が出たことは非常に画期的ですし、皆さんにブースターを接種することをおすすめします)。

CNNロイターも、拡散した動画のファクトチェックを行ない、それぞれ元々のインタビュー動画の内容を歪めていると説明している。

4エンマ大王

InFactはレーティングをエンマ大王で示している。問題のツイートは「虚偽」であり、これは4エンマ大王となる。
InFactはファクトチェックの結果をエンマ大王で示しており、今回のファクトチェック結果は4エンマ大王となる。

エンマ大王のレーティングは以下の通り。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

Return Top