DHCの吉田会長は、今年4月以降だけでジャーナリストや出版社を相手に10件の損害賠償を提訴。言論封殺ではないかという批判を浴びている。 写真はDHCの店舗 撮影・鈴木祐太 |
「みんなの党」の代表だった渡辺喜美代議員の失脚の原因となったのが、化粧品製造販売会社DHCの吉田嘉明会長が渡辺議員に貸し付けた8億円について自ら雑誌に告白したのがきっかけだったのは周知の事実だろう。その吉田会長が弁護士やジャーナリストなどを相次いで名誉棄損などで訴えていることが関係者への取材で分かった。訴訟の件数は10件に上るという。
この一連の訴訟の最初の口頭弁論が、東京地方裁判所で8月20日に開かれる。訴えられているのは、東京弁護士会の澤藤統一郎弁護士だ。
訴状によると、澤藤弁護士は自身のブログで、吉田会長が自分の儲けのために渡辺元代表に金を交付したが、自分の思い通りにならないので切って捨てたとの趣旨の記載を行い、「DHC側のあざとさも相当なもの」と記述したという。
その上で、吉田会長の側は、ブログがインターネット上で誰でも閲覧できるものである上、被告は社会的地位のある法律の専門家であるから読者は記述を高く信用してしまい、吉田会長の名誉が著しく損なわれたとしている。そして、澤藤弁護士に対して、吉田氏本人とDHC社に各1000万円、合わせて2000万円の損害賠償とブログへの謝罪広告の掲載を求めている。
これについて澤藤弁護士は次にように話し、裁判で争う姿勢を示している。
「経済的な強者が高額請求の訴訟を起こすことで政治的な言論を封殺しようとするもので、憲法上看過できない重大な問題を含んでいると思う。私のこの程度の表現が違法ということになれば、言論の自由は封殺されることになる。とりわけ、強者の違法に切り込む言論が封殺されてしまう」。
裁判は8月20日の午前10時30分から東京地方裁判所705号法廷で開かれる。
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