●ほしいままに振る舞う共産党員の権力とは
共産党員や公務員の力がどれほどのものなのか。私は、その手がかりとなる証言を得るため、中国東北地方、黒竜江省に飛んだ。
取材に応じてくれた孫暁晶さん(37歳)は、黒竜江省の共産党委員会秘書室の王弟白副室長と愛人関係にあったという女性だ。去年6月には、2人の間に女の子が生まれた。家を訪れると、男性もののパジャマや下着が残されていた。王副室長のものだという。プレゼントされたというアクセサリー類も見せてくれた。中でも一番高価なものは、日本円で約10万円したという指輪。2人はよく高級レストランにも行っていたという。
「毎回食事が高いから家で食べようといったら、『食事カード』があるから大丈夫、力を出して問題を解決してやるとその会社の社長がカードをくれるのだ、と言っていました」
食事カードとは、レストランで使えるプリペイドカードや食事券のようなもの。高額なものは数万円分になる。副室長が口利きの謝礼として受け取っていたということだろうか。
孫さんは、王副室長のもとに利権を求める人が度々訪れていたことを、次のように証言する
「彼の家にいた時、頼み事をする人が来てベルトを渡していた。3800元(約6万4600円)以上するものだった」
「あなたにどんなことができるの?と聞いたら、『あまり聞くな。自分が情報をちょっと出すと、彼らが得られる利益は8万元(約136万円)や10万元(約170万円)というお金ではない』と言っていた」