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拉致問題は前進するか 蓮池透× 石丸次郎 対談④

石丸:確かにそれはちょっと難しいと思います。いわばソ・テハは日本向けの看板みたいなもんでしょうから、拉致問題の内幕も知らないでしょう。調査委員会ぐらい作れないと、本当にやってんのかって思われる。昨年10月末に平壌に行った各メディアは、「委員長のソ・デハが出て来た。これはやる気だ」とたくさん書いてくれた。
蓮池:(平壌市内の調査委員会の部屋の様子は)あれは面白かったですね。椅子がまちまちで違うとか、部屋が狭いとか、電話とかFAXとかコピー機とかそういう什器がないとかね。後は、本棚にも書棚にも書類がほとんど入ってないとかね。

石丸:使った形跡がないとか。
蓮池:看板が新しいとかね。

石丸;どうでもいいと言えば、そんなんどうでもいいことなんですが。
蓮池: TBSは、平壌からの生中継の内容が問題視されて次の日は取材拒否された。

石丸:あの中継でTBSが引っかかったのは、「権力闘争などで体制が不安定」、と取れるような言い方をしたからでしょう。今、北朝鮮では金正恩氏の「唯一領導体系」を作るために必死になっているから、「体制不安定」「金正恩氏の動静」という表現を聞きつけた担当者は、もし抗議しなかったら自分自身が危なくなります。TBSの件は、正恩氏が取材拒否せよと指令したのではなくて、担当者が強く抗議するという態度をアピールしたと見るべきです。
蓮池:そもそも日本人拉致は、調査委員会なんか作ってあらためて詳しく調べるような問題ではないんですけどね。

石丸:本当は、解は全部出ているはずです。調査委員会なんて作らなくとも、見返りの額が折り合えば早く進んだと思います。
蓮池:外務省の戦略のなさというか、知恵のなさというか、やり方は12年経ってもやっぱり変わってないと思います。(続く)

※米国のワシントン・タイムズは2014年12月11日、北朝鮮の機密文書を入手したとして、金正日氏が、工作機関に直接指示して外国人を誘拐させ工作員として養成し、諜報活動や映画製作を含む宣伝活動に従事させていたことが分かったと報じた。同紙によると、金正氏は77年9月と10月に北朝鮮の工作機関、朝鮮労働党対外情報調査部(当時)の幹部に外国人の拉致計画を説明。その後、東南アジアや中東、東欧に工作員を派遣して若い男女を誘い出すよう指示したという。

※金賢姫は1987年11月大韓航空機爆破の実行犯。北朝鮮で工作員教育を受ける過程で、拉致被害者の田口八重子さん(李恩恵)から日本人を偽装する教育を受けた。

<<※偵察総局>>

朝鮮人民軍偵察総局は、2009年に、朝鮮人民党作戦部、朝鮮労働党対外情報調査部が統合して発足した。

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