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米朝首脳会談は本当に驚くべきことなのか?

米朝首脳会談は本当に驚くべきことなのか?

米朝首脳会談にトランプ大統領が応じる姿勢を示したことが衝撃を与えている。しかし、それほど驚くことなのだろうか?勿論、まだ会談が正式に決まったわけではないので安易な予測は控えたいが、私はYahooニュースでその可能性を書いてきた。別に誇れる話ではないのは、新聞がよく書く「米朝関係筋」や「米政府関係者」から得た情報ではないからだ。トランプ大統領の発言や米国で報じられた内容を読んで推測してきただけのことだ。

私がワシントンDCに滞在していた2017年1月から6月で、米国のジャーナリストの中で言われていたことがある。

「トランプ政権について1つだけ明確なことがある。それは、何1つ明確でないことだ」

ただ、公共放送NPRのベテラン・デスクは、「こうしたある意味で予想不能な大統領だからこそできることが1つある」と語った。それが北朝鮮問題だった。

一番大きいのはトランプ政権の持つ政策形成過程だと説明した。北朝鮮問題は、国務省からの積み上げ作業を重ねても事態は動かない。トップが全てを決める北朝鮮のスピード感にはついていけない。しかし、トランプ大統領は最初から国務省の作業を無視して動いている。北朝鮮問題を動かすには、それくらいの粗っぽさが無ければ難しい。

実は、あまり知られていないが、トランプ大統領は就任の当初から北朝鮮に対して強い関心を示している。これは核の脅威が迫ったからという理解もできるが、時系列で言うと、そういう報道が始まる前から北朝鮮との接触を模索していたという事実がある。

私はそれを2017年2月26日に、Yahooニュースに書いた。

外交官を含む北朝鮮の高官6人を米国に招く計画を立てていたのは、外交問題を専門とする民間シンクタンクのNCAFP。国務省によるビザ発給の手続きが進められ、早ければ3月にも北朝鮮高官の訪米が実現するものと見られていた。国務省が関与した招聘ではないが、国務省がビザの発給を認めることで事実上、トランプ政権が北朝鮮政府高官の入国にお墨付きを与えるものとして注目されていた

この「早ければ3月」とは言うまでもなくトランプ政権発足直ぐの2017年の3月のことだ。結局、この訪米は実現しなかった。ビザが発給される日の朝になって国務省が発給を取りやめたからだ。その理由は、金正男氏暗殺事件だったとされている。

この問題について国務省でアジアを担当した元外交官は私に次のように語っていた。

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