インファクト

 調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.15/2020.1.15)

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.15/2020.1.15)

インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)

(1)「豪山火事で大人31人、子供67人逮捕 気候変動活動メンバー」

日付
1/8
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
9800RT
内容
海外ユーザーのツイートを引用し、「オーストラリアの山火事をおこした大人31人、子供67人が逮捕されました。逮捕された人達は、気候変動活動をしているメンバーでした。」とする投稿。
引用
アカウント名等モザイク処理は筆者による(以下同様)
【検証】「逮捕」の人数ではない 環境活動家という根拠も無し

「大人31人、子供67人」はAAP通信(2019年12月20日記事)が伝えた「31 adults and 67 juveniles」という数字が元になっていると見られる。これは豪クイーンズランド州で警察が対処したという数で、罰金や注意など「逮捕」以外の対応も含まれると考えられる。AAP通信は対処の内容について詳細は明らかにしていない。

逮捕されたのが「気候変動活動をしているメンバー」だというのも報道等のソースは見当たらず、根拠不明である。

英紙「The Guardian」は大規模な山火事の原因が放火にあることを示す知見は無いなどとする専門家意見を紹介している。

詳細はBuzzFeedの検証を参照のこと。


(2)「安倍政権が全国のホームレスを3分の1にまで減らした」

日付
1/1
発信者
ツイッター速報
媒体
まとめサイト
拡散数
Twitterで5200RT
内容
「れいわ山本太郎代表、渋谷でホームレスに年越し炊き出し。左翼さん『それに比べて安倍は~』←安倍政権、全国のホームレスの人数を3分の1にまで減らしていた」と題した記事の、「安倍政権、全国のホームレスの人数を3分の1にまで減らしていた」という部分。
引用
【検証】「3分の1」は誤り 減少も政権に関わらず一貫

厚生労働省は「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査) 」でホームレス数の調査結果を公表。「ツイッター速報」がホームレス数減少の根拠として挙げるグラフとは数値が一致しており、データの典拠は同じと思われる。

データを見ると、調査の始まった2003年から2019年(2004~2006年はデータ無し)に至るまでホームレス数は一貫して減少傾向にあり、これは民主党政権時代も含め政権に関わらず当てはまる。第2次安倍政権(2012年12月〜)になってもその傾向は続き、2013年と2019年で比べた場合約45%減となるが、「ツイッター速報」の主張する「3分の1にまで減らしていた」の根拠は不明である。

BuzzFeedは、ネットカフェ難民の増加などによってホームレス数の暗数化が起きている可能性も指摘している。詳細はBuzzFeedの検証記事を参照のこと。


(3)「イスラム教徒が誤って朝マック注文し店員に激怒」

日付
1/6
発信者
秒刊SUNDAY
ネットメディア
記事
拡散数
Twitterで1100RTなど
内容
イスラム教徒、誤って朝マックしてしまい店員に大激怒する騒ぎ」と題した記事。(キャッシュ
引用

ということで、問題が起きているのはイングランドにあるバーミンガムのマクドナルド。とあるイスラム教徒の客が朝マックを頼み、でてきたそれを口に入れた瞬間そのイスラム教徒は一気に吐き出す羽目に。
なんと、その朝マックメニューには、ポークが入っていたのです。たしかにマフィンの中にはソーセージエッグマフィンなど、ポークを使うものが結構ありますので、誤って頼むとエライことに。
イスラム教徒の客は、店員が肉無しの選択肢を与えなかったと怒りを顕にしているそうです。またこの件に対し謝罪を要求し、さらに補償を求めているということです。

【検証】客は肉無しのメニューを注文 店側がミス

秒刊SUNDAYがソースとしている英大衆紙「the SUN」や、そのさらに参照元である「Daily Mail Online」によると、客が注文したのは卵やチーズが入った元々肉の含まれていないマフィンであり、店側が誤って注文と違う品を提供したと書かれている。この肉を使わないマフィンは正規メニューとしてマクドナルドの公式ホームページにも掲載されている

また、マクドナルドの広報担当者もDaily Mailの取材に対し「我々はオーダーの誤りを防ぐため多くの対策を取っているが、今回のケースではこの基準に沿っていなかったことをお客様にお詫びしたい」(筆者訳)とし、店側のミスを認めている。

このような経緯は秒刊SUNDAYの記事では説明されておらず、逆に客側が「誤って」自分で豚肉入りのメニューを注文したかのようになっている。「店員が肉無しの選択肢を与えなかったと怒りを顕にしている」というのも誤りで、「they failed to give him the meat-free option he asked for」(筆者訳:店が彼の注文した肉無しの選択肢を提供するのに失敗した)というthe SUNの記述を誤訳したものと思われる。

東京都大田区議の荻野稔氏は、秒刊SUNDAYのこの記事を引用したまとめサイト「ツイッター速報」の記事を紹介したうえで、「一つ、質問いいかな?入ってるのが豚肉だと何故分かった?」「お客が自分で選んで注文した筈ではあるが、回避には成分表示をしっかりするしかなさそう」などとコメント(キャッシュ)。投稿は約1000RTされていたが、「リンク先の日本語翻訳が、実際のニュースとは違う内容であったという指摘があった」などとして謝罪・削除されている。


(4)「クイズ番組の芦田愛菜 こんなんで100万円貰える(画像)」

日付
1/12
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
4800RT
内容
タレントの芦田愛菜さんが「日本で一番北にある都道府県はどこ?」(正解は「ほっかいどう」)などの問題に答えているクイズ番組の画面キャプチャ画像とともに、「こんなんで100万円貰えんのかよ…」とコメントした投稿。
引用
【検証】画像は1000円~1万円の問題

キャプチャは2013年にタレントの芦田愛菜さん(当時8歳)がフジテレビのクイズ番組『クイズ$ミリオネア 新春! 大復活SP!!』に出演した時のもの。番組内容は「TVでた蔵」(リンク12)などで詳細に記録されている。

『クイズ$ミリオネア』は1問正解するごとに賞金額と問題の難易度が上がる仕組み。通常の放送回では1問目が賞金1万円、全15問正解で1000万円獲得となるが、この回は小学生向けの特別ルールとして賞金1000円から始まり、15問で100万円となっていた。そのためこの時芦田さんは、通常の回では出題されないような低い難易度の問題にも回答していたことにまず留意する必要がある。

「TVでた蔵」の記録にあるように、上掲画像の「日本で一番北にある都道府県はどこ?」「次のうち、しりとりで使うと負けてしまう言葉はどれ?」「次のうち、答えが『10』になる式はどれ?」は、それぞれ5問目(賞金1万円)、1問目(1000円)、4問目(5000円)の問題で、100万円が得られる15問目ではない。このことは画像右上に表示された賞金額からも判別できる。

芦田さんが賞金100万円を獲得した15問目は、実際には「漢字の『虫』は、元々どんな生き物の形からできたもの?」という問題だった(正解は「ヘビ」)。


(5)「上を向いてるアシカ(画像)」

日付
1/12
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
1.5万RT
内容
「※上を向いてるアシカです」というコメントとともに投稿された画像。
引用
【検証】加工された画像

この画像はアメリカの写真家Justin Hofman氏がInstagramに投稿した写真を加工したもの。オリジナルと比べると、鼻先の形や頭のしわが描きかえられていることが分かる。なおこの動物はアシカではなくミナミゾウアザラシ。

 

(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年1月22日の予定です)

Return Top