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<現地報告・バングラテロ事件>凶行に走った若者たちの素顔を追う(2) 父親に聞く18歳の実行犯サミーとは 宮崎紀秀

ハヤトは、携帯電話やアイ・パッドに保存してある息子の写真を見せてくれた。去年の年末に家族で別荘に行った際に自身で撮った写真で、「これが記憶に留めたい息子の姿です」と言った。写真の中のサミーはまだあどけなさを残し、はにかんだような表情をカメラに向けていた。一方、ハヤトは、実行犯として新聞に載っている銃を構えたサミーの写真を指してかぶりを振った。

「銃を持って笑顔の人物は私の息子ではありません。私の息子はおとなしく臆病で良い子です。だからちゃんと銃を持つことができていないでしょう。見てください」

18歳にしては奥手で女性の友達はおらず、一人で出かける経験もほとんどなかったという。英語で授業を行う学校に4年間通った息子は英語が堪能で、カナダで音楽を勉強している兄を追って彼の地の大学に行きたがっていた。

サミーの父
 息子の写真を見せる実行犯ミール・サミー・ムバシールの父(筆者撮影7月5日)

将来は父親のような会計士になりたいと話すこともあれば、社会学を勉強したいと言ったこともある。一方、子供の頃に興味を持ったものとして父の記憶に残るのは、複雑な恐竜の名前をたくさん憶え得意になっていた姿だ。どこにでもいる子供である。

ハヤトはサミーが宗教に興味を持ち熱心であったと明かし、「自分よりも詳しかっただろう」と話す。1日5回の祈りは欠かさなかったというが、これは多くのイスラム教徒にとっても一般的な習慣である。

イスラム教以外の宗教についてサミーがどう思っていたかを尋ねたところ、ハヤトは「インドに旅行で行ったあとにヒンドゥー教に興味を持ち勉強していたことを知っているが、キリスト教やユダヤ教に対しどれほど知識があったかは分からない」と話す。

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