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《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.33/2020.5.20)

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.33/2020.5.20)

インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)


(1)「ベネチアの運河にワニ(画像)」

日付
5/14
発信者
福井信蔵(アートディレクター)
媒体
Twitter
拡散数
2.9万RT
内容
「ベネチアやばい(笑)。運河が澄み切ってクラゲ来たとか言ってたけど、とうとうワニまで来た。」などと書かれた、画像付きの投稿。
引用
【検証】画像は合成

これはイタリアの環境保護団体が撮影したヴェネツィア(ヴェニス)の写真と、有料ストックフォトから取ったワニの写真を合成したコラージュ画像である。ストックフォトの説明文によれば、ワニの写真はアメリカ・フロリダ州のエバーグレーズという湿地帯で撮られている。

台湾ファクトチェックセンターが取材した専門家によれば、ワニは温暖な沼や湖を好み、ヴェネツィアの運河に現れる可能性は非常に低いという。


(2)「カモノハシの赤ちゃん(画像)」

日付
5/13
発信者
吉田恭子(文学研究者)
媒体
Twitter
拡散数
3400RT
内容
海外ユーザーの画像付きの投稿を引用し、「カモノハシのあかちゃん!」などとした投稿。
引用
【検証】彫刻の作品

これはセルビアのアーティストVladimir Matić-Kuriljov氏の作品で、樹脂粘土の彫刻にアクリル絵の具で着色したもの。作者は元々これが実物のカモノハシの赤ちゃんでないことを明示しており、イギリスのWebメディア「iflscience」の取材に対しても改めて彫刻作品と強調している。

実際のカモノハシの赤ちゃんは、横向きの目や5本の指を持つなど、上掲の画像とはかなり違った姿をしている(参考)。


(3)「お年寄りの浅草の職人に染めさせたエヴァの手ぬぐい」

日付
5/16
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
2.6万RT
内容
「エヴァを知らないお年寄りの浅草の職人に染めさせたというものすごいクオリティの手ぬぐい。」とする画像付きの投稿。
引用
【検証】デザイナーが否定

この手ぬぐいはデザイナーの芝崎るみ氏がアニメ「エヴァンゲリオン」をモチーフにデザインし、販売しているもの。「Rumi Rock」のスタジオが東京都台東区千束に位置し広義の浅草エリアに属するのは事実だが、2012年に同様の投稿が拡散された際、芝崎氏は「ちなみに職人は浅草ではなく産地の方です。若手職人も働いてます。」と「お年寄りの浅草の職人」という説明を否定している。

職人が実際はどこの人か、「エヴァを知らない」が事実かは不明。


(4)「4月だけで3000人以上の中国人が特別入国」

日付
4/10
発信者
水間政憲(ジャーナリスト)
媒体
YouTube
拡散数
46.4万回再生
内容
「日本は4月だけで3000人以上の中国人を特別入国させていた」と題し、新型コロナウイルス流行に伴う中国の入国制限対象地域からの特別入国者が、3月は1日あたり10人だったが、4月に入り1日あたり300人に急増したとする動画。
【検証】3000人は全対象国の合計

「急増」の根拠となったと思われる法務省の資料では、特別上陸許可の人数は確かに4月3日を境に急増している。しかし、この数字は中国人に限定したものではなく、全ての上陸拒否対象地域からの入国者を表している。

法務省は報道発表で「4月以降,特定の国籍を有する外国人を多数入国させるようになっているなどといった情報が広がっていますが,これは誤った情報です。」とし、人数の増加は上陸拒否対象地域が3日から拡大されたことが理由としている。これに伴い、資料に記された上陸許可の対象となる「特段の事情」の例も中国に関するものから変更されている

また、法務省の別の資料によれば、中国籍の特別上陸許可者は4月1日から12日までの通算で295人。上掲の動画が公開された4月10日時点ではこれ以下ということになり、「3000人」とは大きく乖離している。

詳細はインファクト別稿の検証記事を参照。


その他

FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。

また過去のまとめでも、新型肺炎関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。

 

(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年5月27日の予定です)

 

※この記事の調査には、FIJのリサーチャーである八木風香氏が協力した。

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