インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
(1)「安倍総理が8月11〜13日に3日連続焼肉」
日付
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9/2 |
発信者
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町山智浩(映画評論家) |
媒体
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拡散数
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2300RT | |
内容
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「安倍総理って『ドクターX』の医者みたいな食生活ですね。」として、辞任直前の8/11~8/13に連続で焼肉店で会食していたなどとする画像を添付した投稿。 | ||
引用
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【検証】6年前と混同
8月28日の辞任表明会見での説明によれば、安倍首相は6月の定期健診で持病の潰瘍性大腸炎の再発の兆候を指摘され、7月中旬から体調に異変、8月上旬に再発が確認されたという。画像はこの時期の首相の会食の様子として、特に8月11日から13日にかけては3日連続で焼肉店で「脂っこい食事」をしていたとしている。
ブロガーのきっこ氏も町山氏の投稿を引用し、
持病の潰瘍性大腸炎が再発して国会の開催にも応じられないほど体調が悪化している時期に『三日連続で焼肉』って凄いよな。
などと投稿、約2000RTされている。
しかし、BuzzFeedが検証しているように、この「3日連続焼肉」は2014年の動静との混同である上、うち1つは焼肉店でもなく鶏料理の店だった。今年の8月11日から13日、首相は実際には3日とも夜は都内の自宅に帰っており、会食などは報じられていない(「NHK政治マガジン」総理動静参照)。
その他の日に関しても、首相が訪れた店は報じられていても実際にどんなメニューをどの程度の量食べたのかは定かではない。なお、7月30日は6月22日の「日本料理」と同じ店だが、一部報道でステーキを食べたとされている。
(2)「安倍総理マスク画像は合成」
日付
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8/24 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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1.3万RT | |
内容
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「安倍総理の顔色を悪くするために画像補正したら、マスクがくすんだので合成したようです」などとする画像付きの投稿。 | ||
引用
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※アカウント名等モザイク処理は筆者による |
【検証】多数のメディアが同様の写真・映像を配信 余ったマスク紐か
投稿は、8月24日に都内の病院を訪れた安倍晋三首相を写した写真(実際は毎日新聞でなく朝日新聞によるもの)について、メディアが健康不安説を煽るため意図的に加工したと主張している。
一方、元新潟県知事の米山隆一氏も、日刊ゲンダイによるこれと似た写真を引きながら「この画像、いくら何でも加工があからさますぎるでしょう…。マスクを忘れたなら忘れたでいいのに…。」などとして、首相がマスクを付け忘れたのが画像加工によって修正されたと主張していた(削除済み)。
どちらの投稿も、首相が付けているマスクの紐が耳にかかっておらず途中で途切れているかのように見えることが「合成」の根拠のようだが、同様の紐の形は他にも多数のメディアが写真や映像で撮影しており、これらが全て合成とは考えにくい。
別の角度の写真などから考えて、途切れて見えるのは結び目から余ったマスク紐の端で、耳にかかる紐は偶然これに重なって見えなくなっている可能性が高い。
(3)「WHOが日本のコロナ終息を確認」
日付
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8/25 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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3800RT | |
内容
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「WHO日本のコロナ対策を称賛」と題したニュースの動画を引用し、「【速報】WHOが日本のコロナ終息を確認。 の対応を絶賛!!」とする投稿。 | ||
引用
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【検証】ニュースは5月のもの 「終息」の言及無し
上掲の投稿を引用した芸人のほんこん氏のツイートも、約600RTされている。
投稿には「速報」という言葉があり、動画内でも日付については「25日」としか述べられていない。そのため、あたかもニュースは最近のものであるかのような印象を受けるが、BuzzFeedが検証しているように、実際には5月25日のニュース(テレビ東京)である。
また、動画内ではWHOが日本の「新型コロナウイルス対策が成功したと称賛」したとは述べられているが、「コロナ終息を確認」したという内容は無い。実際、WHOのテドロス事務局長はこの時の会見で、日本の緊急事態宣言解除や新規感染者の大幅減少に触れ安倍首相の名前を出しながら「成功」と述べているものの、「終息」とは明言したわけではない(WHO会見文字起こしp14~15参照)。
(4)「家賃支援金の給付遅れ 中抜き批判で外部委託しなかった結果」
日付
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8/20 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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1000RT | |
内容
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中小企業などへの家賃支援金の給付の遅れを伝える日本経済新聞の記事を紹介し、「これが『中抜き』を批判して外部に委託しなかった結果ですよ。」などとする投稿。 |
【検証】家賃支援も外部委託されている
新型コロナウイルスによる打撃への対策として政府が行う経済対策では、持続化給付金や「Go Toキャンペーン」などで巨額の外部委託費用が問題視されていた。
投稿は、このような批判を受け家賃支援事業では外部委託が行われなかったために、給付の遅れが発生したと主張している。しかし、実際にはここでも外部業者への委託は行われ、その費用も予算に計上されている(参照)。「外部に委託しなかった」というのは誤りだ。
上掲の日経記事では、給付の遅れの理由として手続きの煩雑さを挙げている。
(5)「飲酒運転の罰則 エルサルバドル、ブルガリアは銃殺刑」
日付
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8/31 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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1.1万RT | |
内容
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「各国の飲酒運転に対する罰則」として、エルサルバドルは「初犯から銃殺刑」、ブルガリアは「2度目は銃殺刑」などと書かれた画像付きの投稿。 | ||
引用
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【検証】ブルガリアは全面的に死刑廃止、エルサルバドルも例外除き廃止
この画像は数年前から繰り返し拡散されているが、少なくとも「銃殺刑」に関しては誤りと判明している。
2015年にはハフポストがエルサルバドル、ブルガリアそれぞれの駐日大使館に取材。「銃殺刑」は誤りだと否定されている。
国際NGOアムネスティの資料「死刑廃止国・存置国」(2018年末時点)によると、ブルガリアの死刑制度は「すべての犯罪に対して廃止」となっている。エルサルバドルは通常犯罪のみ廃止(軍法下の犯罪や特異な状況における犯罪のような例外的な犯罪にのみ、法律で死刑を規定)に分類されており、飲酒運転のような通常犯罪では死刑にならないと見られる。
その他
FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。
また過去のまとめでも、新型コロナウイルス関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年9月9日の予定です)