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[FactCheck] 「NHKが『東日本大震災でLINEが役立った』とデマ」は誤り NHKは時系列を正しく説明

[FactCheck] 「NHKが『東日本大震災でLINEが役立った』とデマ」は誤り NHKは時系列を正しく説明

2011年3月11日に発生し、今年で10年を迎えた東日本大震災。今や広く普及している通信アプリ「LINE」はその後の同年6月に提供開始されたのだが、先日NHKがこの時系列を誤って説明していたとする言説が拡散された。NHKによる「デマ」の放送はあったのか、検証した。(大船怜)

チェック対象
LINEのサービス開始、2011年の6月23日なのに、 東日本大震災3/11に役立ったというデマ、 いまさっき、NHKでも言ってた・・・
(Twitterの匿名一般ユーザー、2021年3月18日投稿)
結論
【誤り】 この言説は3月18日放送の「ニュースウオッチ9」を参照したものと思われる。番組ではLINEについて「東日本大震災で繋がらなくなった電話に代わる手段として登場した」などと説明していたが、東日本大震災の時に役立ったとは言っていない。

このTwitter投稿は現在までに約1.4万件のRT、3.6万件のいいねを獲得しており、非常に広く拡散されている。

LINEのアプリ提供開始は2011年6月23日(参照)。東日本大震災当時にはまだ存在していないため、NHKが本当に「震災時に役立った」と放送していたのなら確かに大きな誤りである。

NHKは正しく説明

投稿時点(3月18日午後9時42分)で「いまさっき」とされていることから、投稿者が見た番組は18日放送の「ニュースウオッチ9」である可能性が高い。平日午後9~10時の時間帯、NHK総合では地域に関わらずこの番組が放送されている。

放送はWeb上で見逃し配信されており、NHK契約者なら無料で視聴が可能だ(25日午後10時まで)。この中のヤフーとLINEの経営統合についての特集では、LINEと東日本大震災の関わりについて次のよう説明する場面があった(上述配信動画の38:20頃~)。

(ナレーション)
10年前、東日本大震災でつながらなくなった電話。それに変わる手段としてLINEは誕生しました。
おなじみの『既読』の表示。相手がメッセージを読んだことが確認できるこの機能は、災害時の安否確認に役立てる狙いで搭載されたんです。

NHK「ニュースウオッチ9」(2021年3月18日放送)より

断片的な言葉だけを拾えば「東日本大震災時にLINEが役立った」と聞き違えてしまうかもしれないが、実際はそうは言っておらず、震災時の経験を基にLINEが誕生したという時系列が正しく説明されていることが分かる。

誤った説明がNHKの別の番組でされた可能性は完全には否定できないものの、具体的に当てはまる番組は見当たらない。状況から判断しても、投稿者はこの「ニュースウオッチ9」の説明を誤解したと考えてほぼ間違い無いだろう。

東日本大震災とLINE誕生の時系列が矛盾した誤情報は、2012年以降幾度か拡散された「震災の時の親子のLINE」と称する画像(参照)など、過去に実際の例がある。投稿者は、こうしたことを念頭にNHKが同様のミスを犯したと思ったのかもしれない。

結論

投稿者が参照した可能性の高いNHKの番組において、「東日本大震災時にLINEが役立った」という説明は実際にはされておらず、震災とLINE誕生の時系列を取り違える「デマ」が放送された事実は無かった。したがって、この言説は投稿者の誤解に基づく「誤り」と判断した。

(冒頭写真:NHK「ニュースウオッチ9」(2021年3月18日放送)より)

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