福岡市において、供給されたワクチンのうち、大部分が町内会長とか民生委員等に割り当てられているという情報が流れた。しかし、4月に福岡市に配布されたワクチンの内、実際には約18%が町内会長とか民生委員等を対象に接種されており、この割合を大多数と言うのは不正確である。(藤 華子)
福岡の場合その種の人ははごく僅かで大多数は町内会長とか民生委員等「社会貢献」で人を市が選ぶ。が、何が社会貢献かは市が選ぶことじゃない。命の選別をやめよ!(Twitter、2021年4月19日投稿)
【不正確】 福岡市に4月分として供給されたワクチン(約5400人分)のうち、個別接種の高齢者を対象に約4200人分、民生委員・自治協議会会長等を対象に約1000人分、施設高齢者を対象に約200人分が分配されている。民生委員等の配分割合はおよそ18%であり、大多数とは言えない。
この投稿は、2021年5月10日現在、約180のリツイート、約470のいいねを獲得している。
投稿内容は、4月分の福岡市に配分されたワクチンの大部分が町内会長とか民生委員等に接種されており、これは社会貢献の程度によって高齢者を選別しているという内容である。以下投稿の全文である。
再度。今一部高齢者にワクチン接種しているが、幸運な高齢者の選抜手段が福岡の場合納得ゆかぬ。最脆弱の施設高齢者なら私も納得するが、福岡の場合その種の人ははごく僅かで大多数は町内会長とか民生委員等「社会貢献」で人を市が選ぶ。が、何が社会貢献かは市が選ぶことじゃない。命の選別をやめよ!
当該投稿の「福岡の場合その種の人ははごく僅かで大多数は町内会長とか民生委員等『社会貢献』で人を市が選ぶ。が、何が社会貢献かは市が選ぶことじゃない!」の「町内会長とか民生委員等『社会貢献』で人を市が選ぶ。が、何が社会貢献かは市が選ぶことじゃない!」の部分は投稿者の意見のためファクトチェックの対象から外す。ここでは、「福岡の場合その種(施設高齢者)の人ははごく僅かで大多数は町内会長とか民生委員等」のみを対象にファクトチェックする。
ワクチン接種の対象と配分は?
福岡市保健福祉局新型コロナウィルスワクチン接種担当が2021年4月5日に報道機関向けに発表した資料に基づき、福岡市の接種の内容について確認する。
福岡市のワクチン接種は3つの方法で行われ、いずれの接種方法も65歳以上の高齢者を対象とするが、それぞれの対象人数は以下の表のとおりだ。対象者数は約5400人となっている。
上記の福岡市のワクチンの配分計画から、 約4200人分が地域のクリニックでかかりつけ患者に接種されるということになる。これは全体の約78%に相当する。
一方で、投稿者が言及している施設高齢者へのワクチンは約200人分となっており。これは全体のおよそ3%である。この数字は投降者の指摘通り、ごくわずかと言って差し支えない。
しかし、投稿者が問題視している町内会長とか民生委員等への接種は約1000人で、これは全体の18%だ。
全てのワクチンのうち約18%を町内会長とか民生委員等への接種の是非はともかく、これをもって全てのワクチンの大多数が町内会長とか民生委員等に割り当てられていると形容するのは正確ではない。その点について投稿者にはツイッターを通じて質問をしているが、5月13日段階では返答は得られていない。
結論
福岡市の4月のワクチンの配分は約5200人分であり、民生委員や自治協議会会長等への集団接種としては1000人分だ。それは全体の約18%であり、大多数とは言えず、不正確だ。
(冒頭写真:当該Tweet)