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【インタビュー】参院選前にNHK党の 立花孝志党首が語っていた こと

【インタビュー】参院選前にNHK党の 立花孝志党首が語っていた こと

7月10日の参議院選挙は、直前に安倍晋三元首相が殺害されるという異例の選挙となった。結果は自民党の圧勝で終わったが、この選挙について少なくともネットで最も話題を集めた党代表は、自民党ではなかった印象だ。勿論、立憲民主党でもなく、また日本維新の会でもなかった。それは立花孝志氏。NHK党の党首だった。ネット解禁選挙の申し子と、立花氏を評することもできるかもしれない。目立っただけではない。その選挙の結果、NHK党は候補者1人が当選し議席を2と増やしている。その立花氏の考えにたかまつななが迫った。インタビューは選挙前に行われたが、選挙前に特定の政党の党首のインタビューのみを報じることは好ましくないとの編集長の判断で掲載を選挙後にした。(取材/写真:たかまつなな)

NHKの集金による被害者を救うため政治の世界へ

QNHK党は何を理念にした党なですか?

立花:NHKの被害者をお守りするという理念で、NHKを見ていないのに受信料を取られるのは納得できないとか、不公平感があるとか、そういう受信料を払わない人をお守りするためだけに作られた政党です。

Q支持者はどういう方が多いんですか?

立花:我々は党費とか会員とか募集していないので、あまり層は分からないですけど、YouTubeで広がっているので、40代から60代ぐらいの男性ですかね。ただ、NHKの受信料に困っている人は一人暮らしの若い方とか、主婦とか、高齢の方もいるので、支持者は全ての世代じゃないかと思っていますけど、調べたことはないですね。

Q前回の参院選では全国を通じた選挙区での議席の得票率は3.02%でしたよね。私も正直びっくりしましたが、なぜそんなに支持が集まったと思いますか?

立花:NHKが不祥事を起こしたのが2004年で、僕は2005年にNHKを辞めたんですけど、その後、受信料の支払いがどんどん落ちていく中、NHKはそれ(不払い)に対して裁判を強制的にやろうとしました。さらに、それまで内部の人がやっていた集金の業務を外部の会社に委託して、えっと思うような取り立てが全国各地で続いたわけですね。でも警察に言っても、消費者センターに言っても解消されない。僕は元NHK職員としてそれが腹立たしくて。だからそこをワン・イシューにしてしまおうと。別に選挙で当選しようと思ってやったんじゃなくて、本当に被害者をなんとかしたいと思ってやったんですけど。

若者の政治参加を訴えるたかまつなな氏が迫る

元民主党の運動員としてNHK改革を提案

Q最初は政治活動じゃない形でやろうとされていたんですか? 

立花:最初はそもそも憲法上の契約の自由とかどうなるんだというところから、弁護団を結成してもらって、手弁当でNHKの裁判を最高裁まで戦いました。でも、最高裁はどっちかというとNHK側に有利な判断になりました。立花さんの言っていることは、確かに一定の合理性はありますと。ただ、著しく合理性を欠かない場合は、司法は立法府の判断を覆さないと。そこで、NHKを守っていたのが自民党だったので、2009年の政権交代の前ぐらいから、民主党をガンガン応援していたんですよ。ずっと民主党の運動員でやっていました。

QNHK改革とかも提案していたんですか?

立花:もちろん。2009年の政権交代のときには本当に日本を変えるぞみたいな雰囲気になって、国民の多くは盛り上がったじゃないですか。無駄なものを民営化していこうとか。当時は蓮舫さんにも国会の質問で呼ばれて、いろいろとレクチャーさせていただいたり。

Qそんなことをやっていたんですか。

立花:やっていました。いち有権者として政党の運動にも参加をして、野田総理の選挙カーに一緒に乗ったり、民主党のマニフェストを配ったり。ところが民主党がそれ(NHK改革)をやらないと言い出したので、維新の会の橋下徹さんにも直接聞きに行ったんですけど、今はやりませんとおっしゃったので、自分でやるしかないということで政治団体を立ち上げました。

NHKすべての国民に愛されるようになってほしい

QそこまでしてNHKを変えたいのはなぜですか?

立花:人のために尽くして喜ばれて、それを生きがいにするみたいなのは子どものころからありました。おじいちゃん、父親もずっと公に尽くすことが立花家の家訓のようなものでした。NHKの採用試験があると聞いてすぐに応募したし、19年4か月NHKで働いたことにも誇りを持っています。辞めたけれども公共放送の職員としての気持ちは、誰にも負けないですよ。

Q以前、NHKの放送にはそんなに不満を持っていないとおっしゃっていましたよね。

立花:放送内容についてはいろいろな意見があるので。料理と一緒ですよね。おいしいと言う人もいれば、まずいと言う人もいるわけです。NHKの放送内容自体は特に我々政治家が言うようなことではない。ただ、見たくない人の気持ちを考えたときに、無理やり食べてもいない料理、あるいはおいしくない料理の料金を払えと言われるのは、民主主義国家においてはちょっとありえないことだと。その人たちを救済することに今も全力をかけています。

Q立花さんが最終的に一番やりたいことは何ですか? 

立花:NHKの元職員としてNHKがほぼ全ての国民に愛されるようになってほしいというのが最後の目的ではあります。でもその前に迷惑をかけちゃっているわけですよ。少なくともNHKの被害者をゼロに近づけること。自分が生きている間にできることってそれぐらいかなと思っています。それ以外のことについては、おまけみたいなものですね。

世の中の大半は政治も選挙も分からないバカ” 

Q選挙の時に「NHKをぶっ壊す」みたいに目立った行動を取るのも、注目してもらうための策略としてやっているんですか?

立花:僕は2005年に週刊文春に内部告発をしてクソ真面目な路線でやってきたんですけど、例えば選挙で駅前で真面目なことを言っても、誰も見てくれないんですよ。ところが、ある市議会議員の候補者が、不倫路上カーセックスということを言ったら、多くの人が立ち止まるし、ネット上でも、多くの人が見ることに気付いちゃったんですよね。世の中の人ってこういうことが好きなんだと。であれば、関心のあることと、こちらが伝えたい重要なことをうまくミックスして届けようと。

Q例えば同じ選挙区に同名の候補者を立てるのもそのうちの1つということですか?

立花:比例で自分が当選して辞めて繰り上げて、また次の選挙で立候補して当選して辞めて繰り上げてっていうやり方は、ある意味僕が最初に提唱して実際やったんですよね。山本太郎さんも参院選に比例で出れば同じことができるのに、なぜか衆議院議員を辞めるとだけ言って、比例では出ないとわけの分からないことをおっしゃった。さすがに言っている意味が分からない。だからそういえば同姓同名の人がいたということでそれを出したに過ぎないんですけど。もっと言うと、彼はうちの党が同姓同名を出したから、たぶん比例では出られなくなったんじゃないですかね。回りくどいんですよ、説明が。

Qでも同じ名前の人を出すというのは、いくらなんでも選挙とか民主主義を冒涜しているんじゃないかなと。

立花:冒涜に行っているんですよ。むしろこれで山本太郎と間違えて入れる人ってなんなのと思っているぐらいです。調べろよっていう話じゃないですか。バカに対してはバカで対応しているつもり。逆に「投票率を上げろ」というようなことは、それこそ冒涜しているんですよ。選挙に行きたい人は言われなくても行くし、誰かから言われて選挙に行くような人はよく調べもせずに票を入れるんですよ。

Q自分たちが担いだ人が当選するかということよりも、選挙制度に対して疑問を呈したいからやっているということですか?

立花:何らかの形で話題を作ることはすごく大事だと思っています。現に山本太郎という同姓同名の人が奥さんとご夫婦で立候補することになったんです。私たちのような人間が選挙に出られるなんてすごくうれしいって、本人たちもやる気満々なんですよね。

結果としてはそういう政治に関心のない人、選挙区と比例区も分からない人が選挙に参加してくれたという意味では、プラスの効果も出ていると思っています。有権者、しっかりしろよという思いはずっと持っています。

Q私は考え方が違いますね。それで地道に活動をしている人が受からなくなってしまうのは嫌だと思います。

立花:たかまつさんの考えは普通だと思います。僕はそのやり方でうまくいかなくて変化球を投げるようになったので。おそらく意識高い系の人は皆さんそうなんですよ。ところが、選挙って何?投票ってどうやったらいいんですか?っていう人は有権者の中にまだ半分ぐらいいるんですよ。その人たちに、ただ選挙に行きましょうとか、政治に関心を持ちましょうって言っても無理なのはよく分かったので。しかもNHKの被害にあっている人って、主にそっちの半分の方なんですよね。だから僕はその人たちの感覚を大事にしているんです。

Qそれはある種ポピュリズムみたいなものが生まれても仕方がないと。

立花:もちろん。ポピュリズムは民主主義としては当然だと思っているので。ポピュリズムを利用した上で、政権を取るなりして、ポピュリズムを変えるしかない。僕は、民主主義ってベストとは思っていないですよ。ベターではあると思っていますけども。だから有権者にテストなりをして、1人1票じゃなくて、ちゃんと知識や勉強をした人や、政治の活動をした人の票数を増やしていくほうがいいと思っています。何もしない人と法律の勉強や政治の勉強をすごくした人、政治活動に参加した人を同じ1票にするのは僕は違うと思っているんです。

Qエリート主義みたいなほうがいいということですか?

立花:エリート主義という言い方が正しいか分からないですけども、1人1票というのは平等そうに見えるけども、それは違うと思っています。今の制度ってポピュリズムに受けないと、いわゆる大衆迎合をして票を取らないといけないことに、最近気付いたんですよね。ホリエモンとも話をして、この国は大半がバカだから、そのバカからどう票を取るかを考えるのが本当に賢い人なんじゃないんですかって言われて、確かにそうだよねと。

自民党の考えに追従

Qちなみに、諸派党構想を掲げていらっしゃいますよね。どういったものなんですか?

立花:今の選挙制度は、既得権者の人たちが作った制度で、政党要件を満たしていなければ実質選挙はまともに戦えないんですよね。例えば供託金を出せない人がいっぱいいるわけですよ。300万円とか600万円とか。特に全国比例で出ようとすると、最低でも3300万円いるわけですよね。

でも諸派党構想に参加いただければ600万円で出られると。しかも得票数に応じて、当選しなくても政党助成金というリターンがあるので、活動の幅が広がるんですよ。選挙って実は2%を超えるとすごいお金が儲かるんですよ。供託金の2倍、3倍になって政党助成金が返ってくるので。だから、これまでは切り捨てられていた2%以下の支持、例えば動物愛護の問題とか、子ども連れ去りの問題とか、いろいろな細かい問題をこの諸派党構想に参加していただくことによって、永続的にできるというか、政治的な活動ができるということです。

QNHK党が政党要件を満たしてもらった政党助成金を、各団体に配分するということですね?

立花:すでに始めています。この下に我々NHK党も入ろうとしているんです。今、年間2億1100万円の政党助成金をいただいています。ただ、我々の活動に必要なのは、NHKの裁判になった人のお金を払っているので、7000万円ぐらい、それにプラス、コールセンターの運営とかで1億円くらいです。ということは、1億1000万ぐらいは余る状態なので、他の政治的な活動をされる方を応援しながら、いずれは自民党に対抗しうる2大政党に成長してくれればと思っています。

Qご自身は今後の選挙ではどうしようとお考えですか?

立花:僕は政治は苦手ですけど、選挙は得意な自覚があります。だからもう二度と立候補もしません。政治家になりません。NHKで言ったら僕は経理や庶務なんですよ。記者やディレクターがやることを陰でサポートするのが僕の仕事であって、政党の運営も、相当のマネジメント力がないとできないんですよ。僕は、いつでも党首の座をどうぞどうぞなんです。ホリエモンにも党首をやってくれませんかと聞きました。他にもガーシーとかにも言っているんですけど、誰もやろうとしてくれないので党首をやるけれど、僕が立候補したら、またお前が当選したいのかと思われるじゃないですか。だからもう絶対出ませんと。だから、諸派党構想を拡大することで僕の目的であるNHKの被害者を守るためのお金さえできれば、それで十分です。

Q今度の選挙の手応えはどうですか?

立花:あります。票って言ったら怒られますけど、堅いところで言えばホリエモンの支持はずっとありますし、今回はガーシーっていう、ある意味すごいカードを手にしているので。昨日の夜中も堀江さんとガーシーそれぞれと、この暴露をやる、やらないというようなLINEをしてて。芸能の暴露じゃなくて、この国の政治家や経営陣の女性問題とかですから結構な暴露ですよ。たぶん週刊誌がお金で黙っているのかなと思っているんですけど、そういうのを出していこうと、日本を根底から変えていこうと考えています。

Q政策はどういうふうに決めているんですか?

立花:基本的には自民党の考えに追従しようということですね。

Qどうしてですか?

立花:自民党のやっていることはおかしくないと、この3年は特に思いましたね。今回のウクライナの侵攻とかを見ても、抑止力がちゃんと働いているんだなとか、現実的な政治をしているのは与党なんだなというのは、実際に国会議員と話したり、外務省や防衛省のヒアリングを聞いたりしてすごく感じましたね。だから自ずと自民党のやろうとしていることを補完すればいいと思うようになりました。諸党派構想で目指すのは、自民党に対して意見を言うことで彼らが緊張感を持てるような保守2大政党です。保守対革新ではないんです。自民党と切磋琢磨することによって国益が上がると僕は思っています。

真剣な表情で語り合う二人

餓死者か戦死者が出れば若者も政治に関心持つ

Q若者政策についてもお伺いしたいです。私たちは「シルバー民主主義」が問題だと感じているんですけど、どうすれば高齢者に偏った政治を解消することができますか?

立花:具体的なことを言えば、僕は相続税が1億円を超えたら100%取るということを掲げています。それで子どもを1人産んだ女性に1000万円を給付する。つまり、年配者から取って若者に配る案です。

Qやはりシルバー民主主義は問題だと。

立花:政治に関心を持つというのは、餓死者が出るか、戦死者が出るかなんですよ。これは歴史が物語っているので。食べ物がなくて死んじゃう、他国の侵略によって人が死ぬとなったら、それは一気に盛り上がりますよ。

ただ今いくら不安を煽っても、平和に生きている人たちからすると、そんなのめんどくさいとなるのは仕方ないかなと思っています。だから、政治家としては問題があると思いますけど、若者が政治や選挙に関心がない国ってすごく成熟した平和の頂点みたいな状態なので、意図的にそこを大きく変えなきゃいけないとまでは思っていないですね。

NHK党の地方議員は「ガラクタ」

QちなみにNHK党としてスカウトして地方議員に送り込んで当選した地方議員の人からは実績は出てきていますか?

立花:NHK党の地方議員って僕はもう「ガラクタ」だと言っています。全員とは言いませんが、いわゆる法律を作ったり予算を執行できる能力がある人を公認してきていないんですよ。

統一地方選挙があったのはもう3年以上前ですけど、当時、NHKから国民を守る党から立候補するなんて言うと、家族の反対はあるし、社会からも疎外されるし、だいたい変な人たちですよ。トラックの運転手をしていたとか、新聞配達をしていたとか、パチプロをしていたとか、なんなら刑務所に入っていたとか、そういう人たちなんですよね。能力はないけど「この国を変えてやる」みたいな気合いで議員になった人たち。それはそれで僕はすごく価値があると思っていて、僕にとって「ガラクタ」というのは褒め言葉なんですけどね。

地方議員の人の役割って住民の声を聞くことに尽きると思います。ただ話がしたい人もめっちゃいるんですよ。寂しさを埋めるっていうのかな。うちの地方議員は携帯電話番号を全員公開しているので、必ず繋がる安心感というか、そういうのはすごくあると思います。僕の知らないところで目立たないけれども、みんな貢献してくれていると思います。

Qちなみに、若者政策として他党とここが違うというポイントはどこですか?

立花:1人目の子どもを産んだら1000万円支給というのは他党とは全然違うと思います。これは本当にちゃんと計算もしているので。優秀な女性が仕事を休んででも子どもを産みたくなるような政策をしないと、優秀な遺伝子が残らないんですよ。ここはいつも叱られるんですけど。真面目に仕事をしている女性ほど責任感が強いから、妊娠や出産をして仕事に穴を開けるのはよくないと思いながら仕事をして気が付いたら・・・ってなっちゃうから。

でも、 1人目に1000万円支給となれば、子どもを産んだお金を原資に事業とかをできるわけだから、全ての女性にできるだけ子どもを産んでほしいという政策です。

QNHK党の議員をこういうふうに使ってくれというような政治家のトリセツをぜひ教えてください。

立花:NHK党なので、受信料を払いたくない人、払っていない人、そういう方はぜひコールセンターに直接電話をください。あとは全員、携帯の電話番号を公表していますから、いつでも電話なりショートメールなり、もちろんTwitterとかでも連絡をいただければと思います。現職の市議会議員が話を聞くだけでもけっこう喜んでくれるんですよね。何もないけどとりあえず電話したみたいな、そういう形で使ってもらえるとうれしいですね。

Q選挙の際に若い人はNHK党に入れたほうがいいですか?

立花:あまり高齢者とか若い人っていう区切りをするのはよくないと思っていて。ぜひNHK党に投票してくださいみたいなことは、むしろおこがましいし、そんなことを言う人も信用できないんですよね。支持したかったら支持してくれという感じですね。

マニフェスト  外交は?憲法改正は?夫婦別姓は?

Qここから、マニフェストで分からなかったことを順番にお伺いしたいと思います。まず、火力発電についてはどう思われますか?

立花:火力発電はもちろん補完的なものですよね。火力というのは非常に便利ですけど、将来的に100年、200年というスパンで見ると、絶対に枯渇するので。原発は再稼働させるしかない。そちらのほうをメインにしていかないと。火力発電は減らしていく方向ですね。

Q外交においては日米同盟を基軸にすることに賛成ですか?

立花:今は仕方ないですよね、賛成です。ただ「今は」ですね。アメリカの軍事力は世界でも群を抜いているので、そこと同盟があることで、結果として70年以上戦争に巻き込まれていないということからすれば、ただちにこれを変える必要性はないと思っています。ですが、もっと日本の独自の軍事力は高めるべきだと思っています。

Q外交において、中国の国際法違反に厳しく対応すべきだと思いますか?

立花:厳しく対応するのは当然なんですが、具体的にどうしたらいいかというのは、相手もあることですから、ただ強硬にやるだけでは意味がないでしょうね。軍事力がないと外交なんて公平にはできないので、軍事力を背景にしたしっかりとした外交をしなきゃいけないと思っています。

Q憲法は改正すべき点があると思いますか?

立花:憲法は、我々が改正するかどうかを言っちゃいけないものだと思っています。国民に最終的に判断してもらうことなんですよね。法律は当然、立法府である我々政治家が作るんですけど、憲法は、我々権力者に対しての義務を課しているだけなので、そもそも政治家が憲法について意見を言うこと自体が僕は違うと思っています。

だから発議の動議があればもちろん賛成します。我々が決めるんじゃなくて、国民投票で決めるわけですから。少なくとも我々政治家のところで国民の投票権というか、憲法改正に対する意思を問わないということは、完全に国民の権利を奪っていると思うので、どんな改正法であっても我々は賛成します。

Q今のところは特にこの点がというのはありませんか?

立花:いっぱいあります。まず96条からやるべきだと思いますね。国会の発議が各議員の総議員の3分の2以上の賛成というのはハードルが高すぎると思うので。9条2項なんて矛盾しています。陸海空軍その他戦力はこれを保持しないというのは、じゃあ自衛隊はなんなのと。子どもに聞かれても応えられないじゃないですか。

憲法は国民に与える利益ですから、もっとシンプルにしなきゃいけないので、憲法に現状を合わせるのか、現状に合わせて憲法を変えていくのかについては、最終的には国民投票で決めるべきです。それこそ不断の見直し、全ての条文に対して賛否を聞くべきだと思いますね。

マニフェストについて語る立花氏

Q選択的夫婦別姓と同性婚については、賛成ですか?

立花:強制するのはまずいですけど、別姓でやりたいという人たちが別姓でやることについては別にいいんじゃないですか。同性婚についても、どうしてもそれがという方がいらっしゃるなら、誰に迷惑をかけるわけでもないので。

Q防衛費を対GDP比2%にすることに対しては、いかがですか?

立花:これは大賛成ですよね。我々も一応国政政党なので、国民に伝わっていない情報が防衛省から来るんですね。周りの国の、特に中国の軍事費、中国経済が上がっているので、GDP比からするとすごくたくさんの武器を持って、軍事力を拡大しているわけですよね。北朝鮮はGDPが増えなくても軍事費にどんどん投入しています。我々が迎撃できないような核ミサイルを開発しています。

やっぱり国民の生命、財産を守るという意味では、強くならざるをえないので。あまり賢くない国民は分からないと思うんですけど、そこは賢い人たちに任せてほしいなと。2%ぐらいの防衛費予算を持っておかないと、他の国から置いていかれちゃうわけですよ。

今は国と国というよりも、思想と思想の戦争のような状態が想定されるので、どうしても他国から「自分たちは金だけ出して」と言われないための自衛というのは仕方ないですね。

Q核兵器禁止条約は批准すべきだと思いますか?

立花:どっちでもいいですね。批准しようがしまいが履行されないことは明らかなので関係ないですよ。国連自体が今回のウクライナで全く機能していないことは分かっているので、そこに重きを置く必要性はないということです。

Q最低賃金は引き上げたほうがいいと思いますか?

立花:これはもう絶対にやめたほうがいいですよね。最低賃金は廃止したほうがいいです。

労働者の賃金って、お互いの合意があればもっと自由に決めていいと思っているんですよ。日本は高度成長期のときに、労働組合が戦って最低賃金を上げろとなったんですけど、最低賃金を上げると結局は請負契約とかいう形に逃げるだけなんですよね。

いわゆる請負契約をすると最低賃金が関係なくなるじゃないですか。でもそれでもいいから働きたいという人の労働者の権利は守らなきゃいけないと思うんです。だから最低賃金を上げると、安く働きたいと思っている人もしんどいし、採用したい側もしんどい。それよりも、生活保護をもっとちゃんと受給できる環境を整備するべきだと思います。

Qガソリン価格の高騰時に揮発油税などを引き下げるトリガー条項について、現在は凍結されていますが、解除すべきだと思いますか?

立花:解除してもしなくてもどっちでもいいです。今の予算のつけ方で十分ガソリンの価格は安定しているので。今、エンドユーザーが困っていないと思うんですよ。今の制度で特に問題はないから、トリガー条項を発動することにこだわることはないかなと。

Q本日はありがとうございました。

NHKディレクターだったたかまつ氏

たかまつなな(略歴)

時事YouTuber/株式会社笑下村塾 代表取締役。1993年神奈川県横浜市生まれ。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。

編集長(立岩陽一郎)後記:NHKの社会部記者時代、当時経理の担当だった立花氏に会っているかもしれない。それは2002年のソルトレーク冬季オリンピックの時だった。私はパラリンピック取材班のキャップとして後半に現地入りした。そしてオリンピック閉幕後に経理関係の引継ぎをしたのだが、引継ぎをした経理担当者が恐らく立花氏だったかと思う。印象が強いのは、取材班の側、つまり経費を使う側に理解を示す言葉の数々だった。例えば、「時には取材班で気分転換も必要ですので、その際はこういう形で経費を処理してください」といった言い方だった。当時、NHK内でも経費の無駄遣いが問題視され始めてり、特に海外取材での経費削減が言われていた。このソルトレーク時から、航空機の格安エコノミーの利用も始まったと記憶している。当然、経理はお目付け役として厳しいチェックが期待されている。立花氏と思われる経理担当者の理解有る物言いに、かなり戸惑った記憶がある。帰国後、その経理担当者が「その理解の示し方」で当時のNHK幹部から重宝されているという話を聴いた。能力は有るのだろう。ただし、仮に、その経理担当者が立花氏だったとしてという話だが、私にとっては最初の出会いからして違和感が強い人間ということになる。このインタビューを読んで、その思いはさらに強まっている。だからこそ、その発言を今後も注視したい。


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