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【Fact Check】参院比例代表の投票用紙に候補者名を書くと「個人と党両方のカウントとなって2倍の効果がある」は誤り

【Fact Check】参院比例代表の投票用紙に候補者名を書くと「個人と党両方のカウントとなって2倍の効果がある」は誤り

参院選の比例代表の投票用紙に候補者名を書くと、「個人と党両方のカウントとなるから2倍の効果があ」とするツイートが参院選の時に拡散したが、この内容は誤りだ。(井口七海・田中真帆)

チェック対象

「参院選の投票用紙の2枚目って、『個人名』書くと、個人と党両方のカウントとなるから2倍の効果があるのを知ってますか。贔屓の政党があったら、2枚目は『個人名』を書いて下さいね。政党名を書くより強力なんだよ。これ、マメね!」
(Twitter、2022年6月18日投稿)

結論

【誤り】政党名ではなく、政党の名簿に記載された候補者名を書いても、1票としてカウントされる。あくまで党全体の獲得票数として合算されるということだ。比例代表で、個人名を書くと個人と「強力」という事実は無い。このため、本ツイートの内容は誤りと判定する。

これは2022年7月10日に投開票が行われた参議院選挙の際に、SNSで拡散した言説だ。先ず、参院選の投票用紙について見てみたい。①選挙区②比例代表 の2種類の投票用紙が渡される。

  • 選挙区:当選者に関係なく、選挙区の投票では1人の候補者の名前しか書けない決まりで、2人以上の名前を書くと無効になる。
  • 比例代表:比例代表は、政党・政治団体名か、名簿に記載されている候補者名のどちらかに投票する。特に投票したい候補者名がいなければ、政党・政治団体名を書けばよい。政党・政治団体名の票と、名簿に記載されている候補者の票(個人名票)を合わせた総得票数に応じて、政党・政治団体ごとに議席が比例配分される。その後、個人名票は、各党内の順位に反映され、個人名票の数が多い候補者から順に当選が決まる。

では、ツイートに有る「個人名を書くと2倍の効果」、「政党名を書くより強力」は本当なのか?検証の対象としているツイートでは、まず「参院選の投票用紙の2枚目」とあるが、これは「比例代表」を指すと考えられる。次に「『個人名』を書く」とあるが、これは「名簿に記載された候補者名」だと考えられる。

政党・政治団体名ではなく、「名簿に記載された候補者名」はどうなるかは、既に述べたように、合算されて党全体の獲得票になり、得票数に応じて議席数が配分される。個人と党両方の2票分入るというわけではない。ツイートにある「2倍の効果」が何を意味するかは不明確だが、「政党名を書くより強力なんだよ」としており、通常の1票より多くカウントされるとの指摘と読める内容だ。

しかし、「個人名を書くと2倍の効果」も、個人名が政党名より「強力」だという事実はない。

これについて総務省選挙課も次のように説明している。

「制度としては『比例代表』も基本的には候補者名を書いて頂くが、それにかえて政党名を書いても良いということです。候補者名を書いて頂いてもその候補者が所属する政党に1票が入ります。ドント式でその政党の中での当選者が決まる際に票の多い候補者の順で当選となるわけです。ツイートに書かれている『2倍』や『強力』の意味は不明ですが、仮に1票以上の得票を意味するのであれば、そうした事実はありません」

比例代表制では、政党名ではなく、政党の名簿に記載された候補者名を書いても、1票としてカウントされる。あくまで党全体の獲得票数として合算されるということだ。比例代表で個人名を書くと「2倍」になったり「強力」となる事実は無い。このため、本ツイートの内容は誤りと判定する。

3エンマ大王

誤りは3エンマ

エンマ大王のレーティングは以下の通り。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

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