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[FactCheck]小泉環境相が「生態系の破壊が進んでいる。人類の数は半分でいい」と発言したとの情報は誤り 二つの主張に因果関係はなく、発言内容を改変

泉進次郎環境相が「生態系の破壊が進んでいる。生物多様性のために社会を再構築する必要がある人類の数は半分でいい」と発言したという情報がツイッターで拡散している。問題の言説は、今年(21年)3月に公開された報告書の内容と2016年の講演会での発言を根拠なく繋げたもので、 実際は二つの主張に因果関係はなく、引用内容も誤っていた。(武藤珠代)追記あり

チェック対象
【環境相】小泉進次郎氏「生態系の破壊が進んでいる。生物多様性のために社会を再構築する必要がある。人類の数は半分でいい」
(Twitter、2021年3月22日投稿)
結論
【誤り】 対象言説は今年(21年)3月に公開された生物多様性に関する報告書の内容と、2016年の人口減少についての講演会での主張を根拠なく繋げたもの。 実際は二つの内容に因果関係はなく、講演会での発言内容は改変されている。

2021年3月22日、「 ツイッター速報~ BreakingNews」 が「【環境相】小泉進次郎氏「生態系の破壊が進んでいる。生物多様性のために社会を再構築する必要がある。人類の数は半分でいい」 という言説を拡散した。引用元は同じく3月22日の5ちゃんねるのスレッド。ツイートは1700件以上のリツイート・2700件以上のいいねを獲得している。

「ツイッター速報~BreakingNews」は、主に政治・経済の話題を扱うまとめサイトのツイッターアカウント。「メディアが扱わないニュースも発信」すると謳うが、5ちゃんねる等のまとめサイトからの引用が主だ。

対象言説の前半部分はほぼ正確

「ツイッター速報~BreakingNews」中で、対象言説の根拠とされているのは以下の二つの記事。それぞれ生物多様性・人口減少という別問題に関する主張であるにもかかわらず、関連があるかのような書き方をしている。

一つ目は2021年3月19日の日本経済新聞の記事:悪化続く生物多様性、回復に『社会変革が必要』環境省。19日の環境省の有識者検討会で、日本の生物多様性を評価した報告書がまとめられたことを報じている。

記事では小泉大臣が、「菓子類や洗剤などの食料品や日用品の生産過程で、生態系の破壊が進んでいる可能性がある」、「生物多様性に配慮した商品が選ばれる社会に再構築する必要がある」と発言したことが紹介されている。この発言が、対象言説の前半部分、「生態系の破壊が進んでいる。生物多様性のために社会を再構築する必要がある」の根拠であるようだ。

対象言説の前半部分だけを見れば、小泉大臣の発言意図からは逸脱しておらず、ほぼ正確な引用と言える。

「人類の数~」部分は誤り

二つ目は2016年9月28日の朝日新聞の記事:「人口減を悔やむ発想から早く飛び出せ」自民・小泉氏。東京港区で行われた講演での、当時自民党農林部会長だった小泉大臣の発言を引用したものだ。以下はその内容の一部。

「 人口減少は不可避です。仮に明日、出生率が人口を維持できるという2・07にいきなりなったとしても、日本の人口減は当面止まりません。だとしたら、今我々が持つべき発想はなんでしょうか。

皆さんは将来に悲観的な1億2千万人の国と、未来に楽観的で自信を持つ6千万人の国だったら、どちらの方が未来があると思いますか。極端な例かもしれませんが、私は悲観的な1億2千万人の国より楽観と自信を持った6千万人の国の方がよっぽど強いと思う

対象言説の後半部分、「人類の数は半分でいい」はこの発言を根拠としている可能性が高い。しかしながら、小泉大臣は人類の数について言及したのではない。「日本の人口が半減しても将来に悲観的にならない国作りをすべき」という趣旨の発言をしたのであって、言及したのは少子化等で減少する日本の人口だ。

そのため、小泉大臣は生態系を守るために人類の数を半減させることを主張しているわけではなく、対象言説の後半部分は誤りだ。

前述のとおり、人口減少に関する発言と、生物多様性に関する発言とは因果関係がない。小泉大臣の言う「社会の再構築」の内容は、生物多様性に配慮した商品が選ばれる社会を作ることであって、人口減に関することではない。

対象言説は、誤った発言内容を引用した上で関係のない二つの発言を関連させることで、発言内容を改変している。

誤った言説がツイッターで拡散

問題の言説は、文化人放送局MCの加藤清隆氏や、その他匿名アカウントも言及しツイッターで拡散した。4月11日の加藤氏のツイートは1300リツイート以上拡散、匿名アカウントの中には3600リツイート以上拡散したものもあり、影響は大きい。

結論

対象言説は2021年の報告書の内容(生物多様性について)と2016年の講演での主張(日本の人口減少について)を根拠なく繋げ、因果関係があるかのように見せている。そもそも2016年の講演で、小泉氏は 「人類の数は半分でいい」 という趣旨の発言はしていない。

対象言説は、小泉大臣の講演会での発言を誤って引用した上、無関係な二つの発言を繋げることで意味を改変している。したがって「誤り」と判定する。

【追記】小泉大臣がチェック対象の発言をしていないことが明らかになるよう、タイトルを変更しました。(2021/5/2 17:12)

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