インファクト

調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します

【Fact Check】NHK番組での維新・足立議員の「大阪府のコロナ感染者数に占める死亡率は『中の上』」発言は誤り

【Fact Check】NHK番組での維新・足立議員の「大阪府のコロナ感染者数に占める死亡率は『中の上』」発言は誤り

日本維新の会の足立康史衆議院議員が、NHK日曜討論で「(コロナの)感染者数に占める亡くなられる方の割合で見ると決して大阪は高くなくて、全国の中で中の上くらい」と発言した。しかし、これは誤りで、足立議員もそれを認めた。(中川瑞月・村田風佳)

チェック対象

「(コロナの)感染者数に占める亡くなられる方の割合で見ると決して大阪は高くなくて、全国の中で中の上くらい」(NHK日曜討論、2021年12月12日)

結論 誤り

【レーティング】誤り
12日時点で大阪府のコロナ感染者における死亡率は全国で9番目に高く、「中の上」に当てはまらない。足立議員も誤りを認めた。

「中の上」は何番目か

まず、足立議員が発言した「中の上くらい」という意味を考える。

「中の上」という表現は、一般的に47都道府県を9分割したうちの上から4番目のグループに属すると考えられる。

つまり、足立氏の発言によると、大阪府の感染者数における死亡者数の割合は、おおよそ「上から16番目から20番目」に位置すると言い換えられる。

大阪府はワースト9位(発言当時)

足立氏の問題の発言があった12月12日時点での、各都道府県の新型コロナウイルス陽性者及び死亡者数は、厚生労働省のHPで公開されている。

12月11日24時時点での大阪府における陽性者数は203,277人で、死亡者数は3,064人だ。大阪府の死亡率は約1.5%となる。47都道府県の陽性者数と死亡者数から死亡率を割り出した結果、大阪府の死亡率は47都道府県のうち9番目に高い割合だと言える。つまり、「中の上」よりも2段階上の「上の中」に位置する。表にすると以下になる。

データを基にInFactで作成

取材に応じた足立議員

足立議員は、言葉が誤りだったことを認めた上で次の様に話した。

「もともと番組でテーマになっていた話ではないが、大石議員(れいわ新選組)から吉村文洋知事の対応が問題だとの批判が出たので、抗弁する意味で『言われているようなワースト(最悪)なものではない』という意味で言ったもの。その時は正確な数字が手元に有ったわけではなく、記憶を頼って語ってしまった。しかしその後に調べたところ、指摘の通りで誤りだった」

番組ではオミクロン株の水際対策が議論されていた際に、れいわ新選組の大石あきこ議員が大阪の状況について「人口あたりのコロナ死者数がワーストワンになっています」と発言。それに抗弁する形で足立議員が発言したという状況だった。この時の大石議員の「ワーストワン」の発言については、番組の中で「ワースト10」だと言い換える形で事実上、訂正している。

同番組で発言する大石議員

ファクトチェックは発言者を非難、中傷するものではなく、あくまで発言の中の事実として語られた部分を確認する取り組みだ。

結論

足立氏が用いた「中の上」という表現は、一般的に47都道府県のうち、約16番目〜20番目を指すと考えられる。しかし、12月12日時点では、大阪府の感染者数におけるコロナ死亡率は、全国でワースト9位となる。このため、この発言は誤りだ。足立議員も誤りだったことをInFactの取材に認めている。

3エンマ大王

InFactはファクトチェックをエンマ大王で示しており、「誤り」は3エンマ大王になる。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

Return Top